【動き始めたバイオスティミュラント】農水省がガイドラインを公表 今後は業界の自主的なルール作りと適切な運用が課題に2025年6月6日
農水省が5月30日に「バイオスティミュラントの表示等に係るガイドライン」を公表した。バイオスティミュラント(BS)は農薬や肥料に次ぐ農業資材としての期待もあるが、日本ではこれまで、その定義や効果の検証、適切な使用方法などは十分に確立されていなかった。ガイドライン(GL)はこうした課題に応えたものだが、法規制ではない。今後は業界によるGLに沿った自主的なルールや基準作りと、適切な運用が課題となっている。
ルールがないと問題が起きる
BS資材は欧米などで活用が進み、EUは2019年の新肥料法で「BSを肥料製品の1つとして位置づけ」、米国では22年に農薬の定義からBSを除外する法案が下院に提出された。日本では2021年に政府が策定した「みどりの食料システム戦略」に「イノベーション等による持続的生産体制の構築①高い生産性と両立する持続的生産体系への転換の項目として『バイオスティミュラント(植物のストレス耐性等を高める技術)を活用した革新的作物保護技術の開発』」の一文が入り、にわかに注目を集めた。
BSに係る欧米の動き(農水省「バイオスティミュラントの現状と課題について」)
定義が定まっていないとは言え、海藻抽出物やフルボ酸(腐食酸)、菌根菌など、海外でも利用されている原料を使ったBS資材は以前から農業現場に紹介され、一部は利用されている。特に、近年の気候変動で高温障害への対応が迫られ、BSのなかでも高温や乾燥への効果に関心が高まり、肥料メーカーだけでなく、農薬メーカーによる開発や導入も続いている。
農水省としても、BS資材が「少なくとも現状よりは増えていく。その際に問題が起きる可能性があり、ルール作りを始めた」。今年2月3日に業界団体や研究者など6人の委員による「バイオスティミュラントに係る意見交換会」をスタート。委員からの意見をもとに、2回目の意見交換会(2月17日)で「バイオスティミュラントの表示に係るガイドライン(案)」を提示した。委員からは概ね賛同する意見が出されたことから、一部文言を修正してパブリックコメントを募集した。
4月3日に締め切られたパブリックコメントには「数十件の意見」が寄せられ、関心の高さが示された。とりまとめには時間がかかったが「GLの枠組みなど大きな修正を求める意見はなかった」ため、一部修正して公表。あわせて、パブリックコメントで寄せられた意見に対して「『バイオスティミュラントの表示等に係るガイドライン』に関するQ&A」も公表した。
農薬や肥料との違いを明記
GLの内容は原案から大きな変更はない。BSの定義は先行するEUや米国を参考に「農作物やその周りの土壌が元々持つ機能を補助する資材」であり、BSの栄養成分とは関係なく「非生物的ストレスに対する耐性を改善」し、結果として「農作物の品質又は収量が向上するもの」とした。
これは法律などで定められている、農薬や肥料、土壌改良材と区別して、これらに該当する場合は法規制に基づいて、登録や届出、表示などを求めたものだ。効果や使用に係る表示方法も、農薬や届出をしていない肥料と「誤認されるような効果の表示はしない」とした。使用方法や効果の根拠情報の明示も求め、確認のための試験方法や確認方法も細かく設定している。安全性の確認や継続的な情報の収集、活用なども求めている。
法規制ではない、業界の自主的な取り組みを
ただし、GLは「あくまで法的な規制ではなく、(業界が)自主的に取り組んでいただきたい事項」(農水省)。メーカーなどで組織している日本バイオスティミュラント協議会はGLを受け、今年の夏にも自主基準を公表する方針だ。使用する側のJAなどが参加しているEco-LAB(バイオスティミュラント活用による脱炭素地域づくり協議会)は今年4月、GLよりも一足早く自主規格を策定、公表している。JA全農も昨年からBS資材の取り扱いを決め、5つの基準で資材の選定に向けた実証実験などに取り組んでいる。
農水省は「GLを出して終わりではなく、今後は事業者がガイドラインに基づいて表示をしているかを確認していきたい」としている。それは「あくまで団体の取り組みを尊重する前提」で、業界による自主的なルールや基準が適切に作られ、運用されているか。これらを何らかの方法で調査し「市場の健全化の方向に向かっているかをどうか判断する」としている。
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