農薬 ニュース詳細

2017.07.14 
登録農薬の「再評価制度」導入へ 農水省一覧へ

 農水省は、7月13日、農業資材審議会農薬分科会(第17回)(山本廣基分科会長)を開き、「農薬取締行政の改革について」審議した。農水省は「再評価制度」導入などの方針を明らかにした。

◆「国際調和が不可欠」-改革の目的

 農水省は、農薬取締行政の改革の背景と目的について、生産コスト引き下げや農産物輸出促進、高い開発力をもつ農薬メーカーの「海外進出に資する」ために「我が国の制度を国際調和させることが不可欠である」とし、農薬登録制度について「効果が高く安全な農薬の開発・供給を促進できるよう改善していくことが必要である」としている。
 そして「科学的に安全であることを証明できた農薬だけ市場流通させる仕組みは、先進各国で共通」だが、日本は「欧米では既に導入されている以下の仕組みの導入が進んでいない」として次の2点をあげた。
▽農薬が人や環境に影響をおよぼすリスクを事前に把握し、そのリスク発生を未然に防ぐ「リスクアナリシス」の考え方で農薬登録時の評価を行うこと。
▽農薬登録後の科学の発展に伴い明らかになる新たな知見に対応して、農薬の安全性を定期的にその時点の最新科学に照らして「再評価」すること。
 こうした点を改善して日本の農薬規制の「国際調和をはかる」ことで、「効果が高く安全な農薬の供給が促進され」国民・農業者・農薬メーカーの三者の安全や利益につなげていく、としている。
 具体的な改革のポイントとしては
1)「登録時」における農薬の品質および安全を保障するための制度の充実として、
▽原体規格の導入(市販農薬が登録審査時の毒性試験に用いられた農薬と同等であることを担保する)、
▽登録審査に係る評価方法や登録基準の改善(毒性のみ考慮した評価から毒性と「暴露」を考慮したリスク評価に転換することや、生態影響を陸生生物に拡大するなど)。

◆15年ごとに「再評価」

2)「登録後」の科学の発展に対応するための再評価制度の導入
▽国際的な再評価の実情を考慮し、再評価は「15年間隔」で行う。
▽すでに登録されている農薬については、毒性や使用量に基づいて優先度をつけ、平成33年度(2021年)以降、順次再評価するとしている。
 再評価の優先度については、「食品として利用され、大量の農作物に使用されるもの(使用量が多いもの)、かつ、「国民が摂取する量が多い可能性が高い農薬」と「毒性上の懸念が高い農薬」の優先度が高いとしている。
 今後、具体的に農薬取締法の改正を行ったうえで、「再評価制度」を4年後から実施していくというのが農水省の考えだ。
 分科会では、「再評価制度」の導入で、「農薬のコストが上がり価格が高くなるのではないか」「再評価に時間と労力がとられ、新剤の登録が少なくなることはないのか」などを懸念する意見が出された。
 分科会での農水省の説明や答弁を聞いていると、少し前に流行ったギャグ「オウベイカ...」のように「欧米では...」とか「欧米が...」という言葉が説明の中で頻繁に言われていたが、それは日本の農薬行政(取締)が遅れているということを強調しているかのようにも聞こえ、それを国民や生産者に理解させようという意図があるのか?とも思えた。そうすると「日本の農産物は安全・安心で...」と盛んにいっている政府と矛盾しないのだろうか。
 なぜ「国際調和」とか「欧米では...」ではなく、これからの日本農業や農産物、さらに農薬開発のためには、こういう改革が必要だとはっきりといえないのか?不思議な想いを抱いた。

一覧はこちら

このページの先頭へ

このページの先頭へ