農薬 シリーズ詳細

シリーズ:いんたびゅー農業新時代

2017.09.21 
農業現場の課題に応え 新たな時代を【上園孝雄・協友アグリ(株)代表取締役社長】一覧へ

省力化・コスト低減に貢献する

 系統メーカーとして地域のJAにしっかりと密着して、水稲をはじめとする国内農業を支えている協友アグリ(株)の上園孝雄社長に、日本農業や生産現場のありようそして同社が目指すものを忌憚なくお聞きした。

◆ショックだった自給率の38%割れ

 ――日本農業の環境についてどのようにお考えですか?

上園孝雄・協友アグリ(株)代表取締役社長 日本のカロリーベース自給率がとうとう38%を切りました。これはショックですし、日本農業を考えるときの大きな問題だと感じました。
 私が就職した1980年ころは、安定的に50%台で、これが徐々に下がりいつの間にか40%台になり、これも切って39%になりました。この時も大変にショックでしたが、5、6年39%で踏みとどまり、国も目標を45%としており、ちょっと頑張れば40%台に回復できるかなと期待していましたが回復することなく38%に落ち、階段を一歩一歩降りていると感じ大きな危機感を覚えます。
 自給率が下がる過程の中で、TPPとかEUとのEPA交渉が行われていますが、これはどう考えても自給率を上げる方向ではなく下げる方向に働くものです。国の政策自体が自給率を下げることを誘導しているという感じがしています。
 昨年、農業に関する議論が盛んにされましたが、農協叩きに終始して一番重要なこういう基本問題がまったく取り上げられなかったのは、私にとっては奇妙としか言いようがなかったです。
 そのなかでもJAグループが危機感をもち、「魅力増す農業・農村...」というビジョンをつくりあげて方向性を具体化したことはよかったと思います。

(写真)上園孝雄・協友アグリ(株)代表取締役社長

 

 ――全農県本部を中心に地域が元気になっていると思いますね。

 

 国内各地を訪問しますが産地振興や民間企業と連携した販売戦略、さらに担い手とも連携しながらこれらをセットにして進める動きが、各地で具体的に進んでいます。改革の意思が力強く進んできていることを現場に行くたびに実感しています。いろいろ大変だとは思いますが、昨年の議論をバネにして、JAが改革に向けて動き出してきていることは非常に嬉しいですね。
豊富な品ぞろえで最適な提案

 ――農薬など生産資材流通にも変化が求められてくるのではないですか。

 生産基盤は大きく変化し、高齢化とその一方で規模拡大が進んでいることを痛感しています。そのなかで農薬の流通も従来通りでは通用しなくなると強く思っています。
 農薬は技術商品ですから技術サービスが非常に重要です。ところがかつて技術サービスを担っていた普及所や県農業試験場の人員が大きく減っていますし、JAの営農指導員も減少し、誰が技術サービスを担うのかが問われます。各都道府県には今後のあり方を真剣に考えて欲しいと思います。
 しかし、メーカーは逃げられませんので、大型農家も含めて私たちがしっかりやっていかなければと思います。

 ――国内の農薬市場が縮小傾向にあるなかで、競合も厳しいようですが、好調を維持されている御社の強みはなんですか。

上園孝雄・協友アグリ(株)代表取締役社長 規制改革推進会議から、肥料・農薬は「競争の働かない分野」といわれましたが、実際には国内の農薬販売は、かつてないほど競争の激しい時代になったと認識しています。
 そのなかで当社は水稲除草剤がメインで、7年連続日本一の普及面積となった「バッチリ」をはじめにラインアップが豊富だということが強みだと思っています。
 さまざまな使用場面に応じて「これなら、お宅のたんぼに最適です」といえるラインアップを持っているのが当社の強みです。
 30年くらい前は主要剤は両手の指で数えられほどでしたが、いまは300を超えます。ひところはトップ銘柄は50万haくらいのシェアをもっていましたが今は10万ha強という時代です。「銘柄集約」といいますが、さまざまな抵抗性雑草が出てきてかつてはヒエ剤と広葉剤の2種混合でよかったのに、これに抵抗性対策の補助成分が必要となり、結果として数多くの剤が開発され銘柄が多くなっていますし、複数の剤を持たないと現場ニーズに応えられません。

 

 ――そういう現場ニーズに応えてきた...。

 

 常にJAグループに寄り添い「現場で困っている課題に的確に応える」事業展開をしてきました。
 その実例が「ピラクロニル」です。上市10年目になりますが、抵抗性対策としてオモダカ、コナギへの効果が高く評価され、今年度のピラクロニルの他社分も含めた使用面積が67万㌶に達しています。これは「現場課題に応えて、現場から求められている」結果だといえます。

 

 ―――全農の大型規格にも応えていますね。

 

 50kgと通常規格の50倍の大きさですが、効果と価格の両面から担い手農家や法人に評価され昨年の倍、2万1000ha分を出荷しました。系統のみの販売ですからJAの事業にも貢献できたと思いますし、来年以降もまだ伸びると思っています。


◆ウンカに強い箱剤や直播の雑草防除に

 ――これから力を入れていく分野は何ですか。 

 一番の想いは、省力化・効率化を進めながらトータルコストを下げようと現場で頑張っている人に応えることですが、これまでは育苗箱処理剤では十分に応えきれていなかったと思いますので、水稲育苗箱処理剤で現場課題に応えられるようラインアップを充実します。
 とくに西日本でウンカの被害が問題になっています。ウンカは大陸から飛来するためにさまざまな抵抗性を持ち防除に困っています。トリフルメゾピリムというウンカに卓効のある殺虫成分が、全農とデュポンで共同開発され、来年中には登録の見込みです。
 当社はこれにいもち剤のイソチアニル、殺虫成分のクロラントラニリプロールの3種混合の育苗箱処理剤を「防人」と名付けて製品化します。そしてこれに紋枯病剤を加えた「箱維新」も上市する予定です。
 もう一つは、水稲でコストを低減するのは鉄コーティングなどの直播が切札といわれますが、これを普及するための最大のネックは雑草防除です。
 これにぴったり適応する剤が「イッソウ」です。今年も各地の展示試験で検証していますが、かなり良い結果が報告されていますので、私は期待しています。
 そして現場へ行くと1枚が1㌶を超すような大規模ほ場が増えています。宮城の復興地では10ha近いほ場もあります。そうしたほ場での除草剤散布の省力化の実証試験を行いデータ蓄積していますので、これを基に大規模農家への提案を進めることも考えています。

 

◆JAグループは堂々と胸を張り進もう

 ――最後に全国のJA役職員と組合員へのメッセージをお願いします。 

 世界の人口を歴史的にみると、人口が2倍になるのに19世紀までは400年から500年かかっています。ところが20世紀はわずか40年と、人口増加のペースが10倍の速度になっています。
 人口増加と食料供給問題の緊急度が高まるなかで、日本は先進国として守るべき責任を放棄しているのではないか、日本人の生命を支える貴重な産業である農業がしっかりと根づかないといけないと思います。
 また、JAグループは昨年、さまざまに言われる中で、JAグループ内の議論を深め方向性を決めました。その方向性を自信をもって堂々と胸を張って進めていただきたい。そのことに協友アグリは先陣をきってご協力し、皆様と一緒に新しい時代を切り拓いていきたいと考えています。

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