補修工事後の水路劣化を簡易測定-農研機構2017年8月30日
農研機構は補修工事をした後の農業用水路の劣化を低コストで簡易に測定する手法を開発した。1か所あたりの測定コストは従来法の約3割以下、所要時間は約3分だという。
農業用水路の基幹部分を構成する農業用鉄筋コンクリート開水路は、経年により劣化するため、劣化を遅らせ、用水路を長寿命化させるために水路内面を覆う補修工事が必要となる。
全国の農業用水路網の総延長は約40万kmあり、受益面積100ha以上の基幹的水路は5万km以上整備されている。その水路の補修には厚さ10ミリ程度のセメント系材料で被覆する無期系被覆工法が多く用いられている。
しかし、被覆工後も表面から中性化が進み再補修が必要となるのだが、劣化の進行に対する簡便な測定法がなく調査はほとんど行われていなかった。
そこで農研機構農村工学研究部門は工事後の劣化の進行度を低コストで簡易に行うことができる測定法「コアビット法」を開発した。
コアビットとは電動ドリルに取り付け可能な小口径コア(円柱状のサンプル)採取用の先端ビット。これで被覆された水路の表面に小さな溝をつくり、pH指示液(フェノールフタレイン溶液)を噴霧し、中性化の度合を測定する。
測定コストは1か所あたり約5000円で時間は3分程度だという。溝の深さは数ミリ程度のため損傷が小さく調査後の補修も比較的容易だ。
農研機構は、本手法によって広範囲の調査が可能となり、これまでは難しかった補修工事後の農業用水路の劣化状況の実態把握や、合理的な保全管理が実現できるとしている。
(関連記事)
・平成28年度安全鑑定結果 農研機構(17.07.05)
・自動運転田植機を開発 農研機構(17.06.23)
・農業用水路詰まらせる「カワヒバリガイ」 那珂川水系でも発見 農研機構(16.11.24)
・小規模水路の補修テープ開発 農研機構(15.05.27)
・農業用水路トンネル、無人で点検 農研機構(13.09.18)
・小落差の水路で発電 農研機構が水車開発(13.09.11)
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】水稲の斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 山口県2025年7月8日
-
なぜ米がないのか? なぜ誰も怒らないのか? 令和の米騒動を考える2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【立憲民主党】「食農支払」で農地と農業者を守る 野田佳彦代表2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【自由民主党】別枠予算で農業を成長産業に 宮下一郎総合農林政策調査会長2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【日本共産党】価格保障・所得補償で家族農業守る 田村貴昭衆議院議員2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【れいわ新選組】農業予算倍増で所得補償・備蓄増を やはた愛議員2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】集落と農地 地域の要 営農事業部門・広島市農協組合長、広島県農協中央会会長 吉川清二氏2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】若者を育てる農協に 営農事業部門・北海道農協中央会前会長、常呂町農協前会長 小野寺俊幸氏2025年7月8日
-
小泉農相 随契米放出に「政策効果」 市場落ち着けば備蓄水準戻す2025年7月8日
-
トランプ政権の移民摘発 収穫できず腐る野菜「農家に大きな打撃」2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】常に農協、農家のため 営農事業部門・全農鳥取県本部上席主管 尾崎博章氏2025年7月8日
-
150年間受渡し不履行がなかった堂島米市場【熊野孝文・米マーケット情報】2025年7月8日
-
2025参院選・各党の農政公約まとめ2025年7月8日
-
米価 6週連続低下 3600円台に2025年7月8日
-
【JA人事】JA秋田しんせい(秋田県)佐藤茂良組合長を再任(6月27日)2025年7月8日
-
【JA人事】JA北九(福岡県) 新組合長に織田孝文氏(6月27日)2025年7月8日
-
【JA人事】JAかながわ西湘(神奈川県)天野信一組合長を再任(6月26日)2025年7月8日
-
【JA人事】JAえひめ中央(愛媛県)新理事長に武市佳久氏(6月24日)2025年7月8日
-
宇都宮市に刈払機を寄贈 みずほの自然の森公園へ感謝と地域貢献の一環 JA全農とちぎ2025年7月8日
-
岡山の農業を楽しく学ぶ 夏休み特別企画「食の学校2025」 JA全農おかやま2025年7月8日