【コラム・目明き千人】「世にも不思議な・・・TPP対策費」2016年2月12日
2月4日にTPPは参加12ヶ国で合意文書に署名をした。協議は秘密会議で途中経過は一切外部に出さず、昨年10月5日に“大筋合意”が公表されたが概要であった。これから全文の内容の詳細を明らかにしなければならない。合意の文書は400ページの大冊で国際的な取引に関するほとんどの分野についての取り決めであり、農産物の関税は21分野のうちの「物品貿易」の一項に過ぎない。しかも合意文書には日本語はなく外国語からの翻訳である。各国は自国に都合のよい解釈をする。
関税の下がる先の話ではなく、大手のスーパーの食品売り場を見ることである。牛肉、豚肉、鶏肉のロースからコマ切れまで世界の10ヶ国以上の肉が売り場を占領している。それらの品質、価格を国産物と比較をして隣の野菜、果実の売り場も見る。全部が国産の商品はコメと牛乳くらいである。解説がなくても国際競争の現場が一目で分る。現在でもこのような状態である。これに為替相場と関税が追い打ちをする。世界の金持ちが日本の高品質の農産物を待っているという、農水省の日本の農業への影響の試算がいかに甘いかが一目瞭然である。従って、今やらなければならないことは今国会でTPPの全容を明らかにして疑問の点、納得のいかない事項があれば日本としては批准を保留することである。実際にTPPが発効し、大幅な自由化、規制緩和の取引が始まった時に、"このような筈ではなかった"といっても誰が責任をとるのか。農家と農協の合理化と販売の努力が足りない、となるのが目に見える。
残念ながら、これまでに農産物の自由化などの問題が出た時の農業関係者の対応が、表では反対、裏で妥協、対策費で幕引きと見透かされている。政府は「TPPは攻めの農業へのチャンス」とTPP対策の予算を計上した。タイミングよくTPP担当の大臣も「最後はカネでしょ」に交代である。
批准を阻止することが当面のやるべきことであるのに、農業・食料問題の基本問題の議論ではなく、対策費の議論をして増額が出来たのは自民党の国会議員の先生の努力のおかげである、次の参議院選挙では応援をする、という。
世にも不思議なことなので、コメントは差し控えます。
重要な記事
最新の記事
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(26)【防除学習帖】 第265回2024年9月14日
-
土壌診断の基礎知識(35)【今さら聞けない営農情報】第265回2024年9月14日
-
米不足で先行き不安【消費者の目・花ちゃん】2024年9月14日
-
シンとんぼ(109) -みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(19)-2024年9月14日
-
【注意報】野菜類にコナジラミ類 県下全域で多発のおそれ 岐阜県2024年9月13日
-
【注意報】大豆に吸実性カメムシ類 美濃地域で多発のおそれ 岐阜県2024年9月13日
-
(401)最後の藁【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年9月13日
-
無料オンラインセミナー「北海道の農業を現場から学ぼう」第2弾を開催 北海道2024年9月13日
-
産官学連携で生まれた「狭山茶フレーバーティー」食のオスカーで1つ星獲得2024年9月13日
-
希少な埼玉県産枝豆「さきたまめ」数量・期間限定で販売 JAタウン2024年9月13日
-
米の目利きが教えるお米の教養書『米ビジネス』発売2024年9月13日
-
持続可能な消費のヒントが見つかる「サステナウィーク」14日開幕 農水省2024年9月13日
-
岡山のシャインマスカット「晴王」新規格・家庭用がお買い得 JAタウン2024年9月13日
-
【地域を診る】農村地域再生の視点 効率優先で被災地の生活見えず 能登復興プラン届かぬ住民の声 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年9月13日
-
第22回ブリヂストンこどもエコ絵画コンクール開催 より良い地球環境を将来世代に2024年9月13日
-
幻のじゃがいも「今金男しゃく」使用 秋限定ポテトチップス予約受付開始 湖池屋2024年9月13日
-
農薬出荷数量は4.1%減、農薬出荷金額は1.3%減 2024年農薬年度7月末出荷実績 クロップライフジャパン2024年9月13日
-
東京農大と連携協定 バイオサイエンス分野で活躍する女性を育成 跡見学園中高2024年9月13日
-
鳥インフル デンマークからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年9月13日
-
中国料理の巨匠・脇屋友詞氏とコラボ「世界最高米フェア」開催 東洋ライス2024年9月13日