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【熊野孝文・米マーケット情報】有機米需要 食品以外に目を向ける~ある女性経営者の発想~2018年3月13日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 カリフォルニアで大規模に有機米生産を行っている国府田農場のロス国府田社長に話を聞く機会があった。ロス国府田社長は、もし今の日本に侍の精神を受け継いでいる人がいるとすればこうした人であろうと思わせるほど物静かでかつ凛としている。祖父敬三郎氏は福島県出身で士族であったが、渡米しカリフォルニアで初めて飛行機で播種するなどでコメビジネスで成功「ライスキング」と呼ばれた人である。その苦難の足跡は「ドス・パロスの碧空」というドキュメント映画にもなっている。
 幕張で開催されたフーデックスジャパンで、国府田農場が自社で生産した有機米を展示・紹介していたのでカルヒカリの玄米を炊飯したものを試食してみたが、食べやすくかすかな甘みがあった。有機米栽培方法について聞くと飛行機で播種しているという。コンタミ防止が最大の課題で、一般圃場と有機栽培圃場の間隔は14フィートから100フィートあり、間隔の狭いところは片方向しか飛行機を飛ばさないようにしているという。広大な農地があるカリフォリニアならではの有機米生産だと思うしかないが、その最終的な目標は「高いクオリティーを求める日本の消費者の期待に応えるだけの有機米を生産することだ」と語っていた。

国府田農場の有機米(米マーケット情報)

◇    ◇

 その日本の有機米の現状は、有機JASの認証数量を見ると統計が明らかになっている直近の平成27年度は8831tで前年度に比べ1559t、率にして15%減少している。最も認証数量が多かった平成14年比では3507t、28%も減少している。
 有機農産物推進の法律が平成18年に制定されたにもかかわらず、有機米は減り続けているというのが実態である。なぜ有機米の生産が増えないのか? 労力に見合った所得が得られないというのが第一で、有機米生産の現状を良く知る研究者が中山間地での有機米作りの現状を紹介した際、そこで使用される手押しの除草機を作っている会社は1社しかないとし、その生産コストを示した。その価格は現在販売されている一般米の3倍以上であった。もちろんそうしたコメに価値を見出して購入している消費者もいるが、全体としてそうした有機米需要が盛り上がらないというのが第二の要因である。
 それに追い打ちをかけたのが原発事故で、有機米を専門に扱っている八王子の米穀業者からキャンセルされた有機米の在庫の山を見せられた時の重苦しい気分は今でも忘れられない。福島県の有機米生産者は7年経ても需要が回復しないことから30年産では一般栽培で業務用米を生産する方向に転換した。

◇    ◇

 農水省は今月初め有機農業に関する全国会議を開催し、盛りだくさんの対応策を示した。
 平成30年までに有機農産物の栽培面積を倍増させ、全体の1%まで引き上げるという目標を掲げているのだから他の先進国に比べあまりにも低い有機農産物の生産拡大を図らなければならないというメンツもあるのだろう。その会で配布された資料の中に2つ気になるデータが示されていた。一つは消費者の有機農産物の購入意識で、現在購入しているという人が18%、購入したいと思う人が65%もいるというデータである。聞き方にもよるが有機農産物の需要はあるということだけは分かった。
 もう一つは日本の有機食品の市場規模は欧米より一ケタ小さい1300億円というデータだ。これは食品としての市場規模だが有機米の需要先にはそれとは違う分野もある。
 矢野経済研究所の調査によるとオーガニック化粧品の市場規模は、2012年当時982億円であったが2016年には1237億円に拡大、2018年には1353億円に成長すると予測している。食品分野と同程度の市場規模があることになる。
 岩手県奥州市で休耕田を活用し、そこで生産したコメを原料にしてエタノールを製造している会社の女性経営者と会った。彼女は金融機関を辞めて東京農大で発酵学を学び、ベンチャー企業を立ち上げた。コメからエタノールと言うと石油代替のバイオエタノールを思い浮かべるが、彼女は石油代替品ではなく、それを化粧品の原料に使った。それによって工業用エタノールに販売する価格に比べ20倍から30倍の価値を生み出している。使用するコメは無農薬栽培したもので、エタノール製造設備の写真も見せてもらったが、コスト削減のために自ら製造設備を作ったと言われたのには驚いた。

 

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