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【熊野孝文・米マーケット情報】あきたこまちの売りヘッジ玉を担保に融資枠2018年10月16日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 来週の月曜日、10月22日から「秋田あきたこまち」の先物取引が開始される。
 大阪堂島商品取引所(以下堂島取)が上場した東京コメ、大阪コメ、新潟コシにつづく第4番目のコメ先物上場商品になるが、これまでの商品とはいくつか商品設計が違うところがある。産地銘柄を特定した商品としては新潟コシにつづく2番目の商品になるが、新潟コシが1枚の売買単位が25俵であるのに対して秋田あきたこまちは1枚204俵でフレコンバック12本(1万2240kg)と単位が大きい。また、受渡場所が秋田県内の能代市、大潟村、男鹿市、秋田市、横手市の5カ所に指定され、生産者、農協、集荷業者等売り手の産地業者は指定された営業倉庫にあきたこまちを持ち込んで荷渡し指図書を取引所に提出すれば換金でき、産地側の負担が少なくて済む。
 売買限月は1年先までの複数限月になっており、22日の初取引では31年6月限、8月限、10月限の3限月が売買され、来年4月には一年先までの限月が出揃うことになる。
 初めての売買になる22日は堂島取が取引開始にあたり売買の目安になる基準価格を1万4400円(指定倉庫渡し、1等税別)に決め、売り手買い手はこの基準価格に対して上下300円の範囲内で売り指値、買い指値をする。これまで売買手法は板寄せ方式で売り手と買い手の指値が合致しなければ成約にならなかったが、今回からザラバ取引手法(株と同じで相対取引が可能)になり、成約しやすくする手法としてマーケットメーカーが取引に加わるためスムーズな取引が期待されている。マーケットメーカーとして堂島取に新しい会員として加わったのはSBIフューチャーズで、この会社はSBIグループの一員で、同グループは為替・証券取引等で400万口座2兆円の資金を有していると言われており、堂島取もマーケットメーカーとして大いに期待している。
 取引に際しては6月限、8月限、10月限も同じ基準価格になるためここで注視しなくてはいけないのが10月限である。というのは6月限、8月限は30年産秋田あきたこまち1等が基準品だが、10月限からは基準品が31年産になるからで、新古格差を設定せずに売買をスタートさせるということである。例えばAという生産者が22日の取引会で10月限に1万4500円で10枚(2040俵)31年産米を売りヘッジしたとする。この価格で買いに応じた買い手がいるとすると、この時点でこの生産者は2958万円の所得が確定することになり、取引所によって100%代金が保証されるため取りっぱぐれはない。
 生産者にとってこれほど確実なコメの換金市場はないということもできる。しかも実際に現物を引き渡す場合、指定された近場の営業倉庫に搬入すれば良く、運賃負担も軽減される。
 メリットがあるのは生産者ばかりではない。買い手のコメ卸業にとってもメリットは大きい。秋田あきたこまちは量販店での売れ筋商品で年間通して販売しているため先物市場の価格を参考にして量販店と値入価格を決めればよい。その価格が決まれば先物市場で買いヘッジすれば確実に毎月秋田あきたこまちが入手できる。しかもその間の倉庫代や金利は必要ない。銘柄が特定されている先物市場であるがゆえにこうした利用法も可能になり、買い手にとっては仕入れ先がひとつ増えたということを意味している。

 

◇    ◇

 

 生産者にとってもまだ作付けもしていない31年産の秋田あきたこまちの価格が分かるということは、来年どのような品種を作付した方が良いのかという経営判断にも役立つ。それだけではなくもっと大きなメリットが受けられることがある。 それは大潟村農協が秋田あきたこまちの先物市場で売りヘッジした生産者に対して、その建玉証明書を担保に融資枠を設定することを検討しているのだ。どういうことかというと正組合員がほとんどを占める大潟村農協は、組合員生産者に対して営農資金を提供してきた。例えば加工用もち米では作付前に実需者と契約する必要があるが、その契約が成立した段階で生産者組合員1戸あたり2500万円を上限に融資してきた。これと同じで先物市場で売りヘッジしたということは31年産が収穫された際に売り価格と数量に応じて100%代金が保証されることになるので、それを担保に融資枠を設定する。生産者はその資金を基に来年の営農計画を立てられるという大変なメリットがある。
 コメ先物市場の仕組みをよく理解し、その活用方法を学べばこうしたこともできるので農協に限らず一般金融機関も先物市場の売りヘッジ玉を担保に融資するというところが出てくるかもしれない。

 

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