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コロナ後の復興と「次の時代」のあり方を考える【森田実の政治評論】2020年6月11日

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【森田実 / 政治評論家・山東大学名誉教授】

「禍を転じて福と為す」(『史記』)


◆私的な感想

最近親しい知人から米寿記念の花束が届いた。ありがたいと思った。今年の誕生日がくると私は88歳になる。じつは、私は若い頃から自分の人生は80歳までだと考えて生きてきたが、幸い健康に恵まれて80の坂は越えた。だが83歳から今年1月までの約5年間入退院を繰り返す生活を余儀なくされた。三度危篤と言われた。が、回復し、この1月から働けるようになった。私は、自分勝手に、天がコロナ禍が人類の歴史にどのような衝撃をもらたすかを観察する時間を私に与えてくれたのだと考えた。それから今日まで約4か月間、コロナ禍がもたらす人類史への影響を観察し、人類の中長期的課題を研究しつづけている。

若い頃、疫病と人類の歴史を調べたことがあり、新たな疫病が発生すると人類は多大の被害を蒙るが、一定の時間が経てば、人類は疫病の病原菌と共存するようになることを知った。今もそうなると思っている。また人類に多大の被害をもたらす疫病は、人間社会に変化をもたらした歴史を学んだ。今回も、そうなると信じている。

私は、若い頃から『老子』が好きで、八十一章のほとんどを暗記している。とくに好きな言葉の一つが五章にある。

「天地は不仁、万物をもって芻狗(すうく)となす」である。自然は非情で、自ら生み出したものでも容赦しない、という意味だ。

新型コロナウイルスも非情である。人類社会に存在するものを次々と破壊している。医療も生活も経済も容赦しない。

しかし、人類は過去に幾度も深刻な疫病を乗り越えてきた。人類は疫病が人類社会の「善」も「悪」も同時に破壊するなかで、「善」を守り「悪」を切り捨てて、生き抜いてきた。

今回のコロナ禍に対し、人類は、まず巨大な被害からの復興を果した上で「善なるもの」を維持しつつ「悪なるもの」を克服することによって、生存をつづける、と私は信じている。

 
◆コロナ禍4か月間の中間総括

コロナショックは強烈なものだったが、人類はいくつもの過ちを犯しながらも、全体として懸命に対応した、と総括してもよいと思う。

第一に、人々は自らの生命と健康を守る場を「家庭」に求めた。正しい選択である。第二次大戦後の経済復興と経済成長期には、人々は企業第一主義をとった。しかし、コロナ禍のもとで生命と健康を守るために、人々は家庭にもどり、家庭にこもり命を守った。家庭第一主義が復活した。

第二に、人々は、政府と地方自治体に保障を求めた。過去40年間、資本主義世界は「小さな政府」を善とし、「官から民へ」を合言葉に、官の縮小・弱体化をはかってきたが、コロナはこの流れを止めた。人々は、「小さな政府」を否定し、より力のある政府、自治体を求めるようになった。これも正しい選択である。

第三に、とくに若者たちの大都会志向に歯止めがかかり、人々は、田舎の良さを再認識するようになった。今まで、「地方創生」をいくら声高に叫んでも、東京一極集中の流れを止めることができなかったが、コロナ禍により流れが変わり始めた。よいことである。

第四に、コロナ禍は1970年代末から始まった競争至上主義・新自由主義の根底にあった「自分さえよければ思想」では人類はこれ以上生きていけないことを教えた。助け合いの精神が急速に甦ってきている。これも大変よいことである。
他方で、非人道的な差別や家庭内暴力など暗い社会現象も少なくないが、人類は全体として健全な方向へ進みつつあると言って過言ではないと思う。

 
◆「次の時代」のあり方

最近多くの人々がよく使うようになった孔子の言葉がある。「人、遠き慮りなければ、必ず近き憂いあり」である。

遠い未来まで考えて対策を考えておかないと、近いところで必ず躓く、という警告である。最近は「今だけ、金だけ、自分だけ」思考が広がっているが、これでは未来はないと人々は気づいた。大変よいことである。

いま「新しい波」が起こりつつある。第一は「自分だけ良ければ思想」からの脱却である。世界を見渡すと「自国の繁栄第一主義」がはびこっているが、この間違った思想を捨て、助け合い精神を持たなければ、コロナ禍を乗り切ることは不可能だと、人々は気づいた。

第二は競争至上主義・自国ファースト主義とともに拡大した「非寛容主義」を克服し「寛容主義」をとりもどす動きが出はじめた。

第二次大戦が終わった時、連合国は「平和主義・寛容主義」に立つことを誓い「国際連合」を結成し、平和・寛容の世界をめざすことを宣言した。これによって平和な国際関係が築かれた。今こそ、国連憲章の「寛容主義」を再認識することが必要である。
人類は平和・寛容主義に立つ健全な道徳を確立する方向に動き出している。この動きを前進させたい。

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