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農業が地域を支える【小松泰信・地方の眼力】2021年10月27日

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「昔、北海道のコメは『やっかいどう米』と言うほどだったが、今はやたらうまいコメを作るようになった。農家のおかげか、違う。温度が上がったからだ。温暖化というと悪いことしか書いてないが、いいことがある」などと発言したのは、自民党の麻生太郎副総裁。北海道で街頭演説をしたときのこと。官民一体となって取り組んだ産米改良の努力など、まったくご存じないようだ。地球温暖化の影響を受けているのは、間違いなくこのひとの脳ミソ。

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「命」を育む農の価値

麻生発言を待っていたかのように米どころからの社説二編。

「コメ余りに伴う米価下落で、本県などコメ主産地が苦境に陥っている。県内は作柄も良くなかった。与野党は現場の切実な声に耳を傾け、農家が希望を持って農業を続けられる政策を打ち出してほしい」と、冒頭より訴えるのは新潟日報(10月26日付)。

「選挙ではこれまでの政権が進めた農政の是非も問われる。安倍政権は、農業の規制緩和を加速させた。国による減反を廃止したのはその象徴だ」とする。

その結果、一方では「2020年度の食料自給率はカロリーベースで37%と過去最低水準となった。30年度に45%に上げるとする政府目標は一段と遠のいた」ことを、他方では「中山間地を中心に担い手の高齢化と減少に歯止めがかからず、集落の維持が困難になっている地域も増えている」ことを突きつける。

さらに、「世界的には人口増や温暖化による自然災害で食料不足が懸念されている。最近は輸入に頼る小麦の価格が上昇している」ことから、「各党は聞こえのよい政策やその場しのぎの対策ではなく、国民の食料を安定的に確保できる足腰の強い農業を育てるため、骨太な論戦を展開してほしい」と訴える。

秋田魁新報(10月26日付)は、各党の農業公約が、米の価格維持対策を訴えていることに理解を示したうえで、「その先の問題として必要なのは、日本の稲作経営をどのような形で継続させていくかという視点だ。その将来像がなかなか見えてこない」と不満を隠さない。

減反廃止後、稲作経営において大規模化が進んだが、「一方で、条件の不利な中山間地域の小規模農家への対策が手薄になったことはなかったか。そこに住み営農を続けるからこそ、集落や景観が維持されている面もあるのが農村の現実だ」とする。

「輸出に向けて稲作の大規模経営化を進めるだけでなく、小規模経営にも光を当てる。そうした均衡ある視点が、稲作の将来像には必要なのではないか」と問題提起し、「稲作に限らず、多様な『農の形』を確保することも欠かせない」とする。「コロナの影響で失業や減収に追い込まれた人たちに携わってもらう取り組み」に注目し、「地方への移住者が農業と他の仕事を両立する働き方」や「観光や福祉などとも結び付け、一人でも多くの人が参加しやすい仕組みづくり」を強力に進めることを提案する。

そして、「地球温暖化がさらに進めばコメの収量減や品質低下、果樹の適地北上、乳牛の牛乳生産能力低下などが懸念される」ことから、食料安全保障の観点の重要性を強調する。

「『命』を育む農の価値は、経済効率だけでは測り切れないはず」として、「それぞれの地域の実情に即した技術面、資金面の支援策など多面的な政策の在り方も考えなければならない」と正論で締める。

先送りできないテーマ「地方創生」

地方創生の視点からの社説二編。

山陽新聞(10月23日付)の社説は、「東京一極集中を是正し、人口減少に対応するための『地方創生』」を先送りできないテーマと位置づける。

「地方の衰退は目を覆うばかりだ。拠点都市でさえ若者らの流出に歯止めがかからない。岡山県内でも3分の1に当たる9市町は45年までの30年間に人口が4割以上減ると推計されている。住み慣れた地域の存続が現実の問題として危ぶまれている」にもかかわらず、「衆院選の各党公約からは危機感が全く感じられない」と憤る。

「コロナ禍は人口が過度に密集する都市のもろさをあぶり出し、地方分散の流れを生みつつある。首都直下地震のリスクも指摘されて久しい。衆院選は、国づくりの根幹となる政策の議論を深める絶好のタイミングでもあるはずだ」として、「各政党や候補者は人口減対策と一極集中の是正に正面から向き合うべきだ。論戦を通じて大胆かつ実効性のある施策を競い、強力に実行しなければ地方は立ちゆかなくなる。この選挙では、地方創生に漂う手詰まり感をいかに打破するかも問われている」と訴える。

最後に、「気掛かりなのは、各党が無党派層狙いで都市部重視の運動に傾きつつあることだ。周辺部を軽視するようでは国民の支持は得られまい」と、くぎを刺すことも忘れていない。

「人口が減っても社会の機能が維持でき、暮らしの豊かさが保てる道筋が必要だ。生産と消費を拡大し続ける大都市中心の経済構造の転換が迫られる」とするのは、信濃毎日新聞(10月24日付)の社説。

「各党の公約で『地方』に的を絞った論点は希薄」で、「それぞれの主張から、地域を持続可能にしていくための具体像は浮かんでこない。重要な政策なのに議論が埋没していないか」と指弾する。

若い世代で地方移住に関心が高まっていることを取り上げ、「行政には住民の多様な声をくみ上げながら、民間の組織とも協働し、自治に生かしていく姿勢が求められる」とする。

持続する農業が地域社会の持続を支える

法政大学教授・山口二郎氏は、日本農業新聞(10月25日付)において、「気候変動対策を進めることは急務だが、同時に世界中で凶作が頻発するという前提の下に、食料の確保を図ることが政治の重要課題となる」ことから、「食料の確保や地域社会の持続」を今回の衆院選の争点にあげる。

「今年の米価が下がって農家の経営が立ち行かなくなるという記事を読んで、がくぜん」とし、「地域社会の持続は、基幹産業たる農業が持続してこその話」とする。しかし、「自然を相手にした営みである農業では、効率化には限界がある」ため、「ひと頃の稼ぐ農業ではなく、国民の需要に応える、持続する農業こそが求められている」と指摘する。

食料生産はもとより、その過程において産み出される多面的機能の価値は計り知れない。農業をはじめとし、第一次産業は地域の、そしてこの国の基幹産業である。

「デジタル田園都市国家構想」のような底の浅い、薄っぺらな政策で後退国日本は救えない。

「地方の眼力」なめんなよ

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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