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【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】身近な農地を支え「2022年問題」を乗り越えよう~都市部での食料増産の重要性~2022年2月3日

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都市農地の転用が一気に行われ、都市部の農地保全が危惧される一方、不動産・建設業界は大きなビジネスチャンスと捉え高い関心が持たれてきたのが「2022年問題」である。身近な農業生産を維持・拡大し、住民の食料と子どもたちの心身を守る重要性が高まっていることを再認識したい。

生産緑地「2022年問題」について、より詳しく知人に解説してもらった。

(1)バブルによる都市化圧力の中、1992年から旧生産緑地法の指定が行われた。三大都市圏特定市の農地については、生産緑地の指定を受けた場合には固定資産税が農地課税(東京都内でも10アール3000円程度)に軽減されるが、耕作者の死亡・故障以外は30年が経過するまで買い取り申し出(=転用等)ができないというもの。指定を受けない場合は、宅地並み課税となる。

(2)2022年には全体の約8割が指定から30年を経過し、いつでも買い取り申し出が可能となることから、農業界では「2022年問題」と呼ばれ、都市農地の保全が危惧される一方、不動産・建設業界は大きなビジネスチャンスと捉え高い関心を示していた。

(3)少子高齢化・人口減少により賃貸住宅を中心とした住宅需要は大幅に減少すると見込まれる中、2022年に大量の都市農地が転用されれば、地価や借地借家の賃料が暴落するとともに、都市の農家が大量の不採算賃貸住宅等を抱え込む恐れもある。

これに対して、指定から30年を経過し、土地利用制限がかからない生産緑地について、固定資産税や相続税の納税を猶予することは国民から理解が得られないとの意見も強くあったが、一方、都市農業・農地は農産物の供給機能に加え、防災、景観形成、環境保全等の多様な機能があることから、その保全に向けた機運が高まり、2015年4月に議員立法による「都市農業振興基本法」(理念法)が成立した。これを受け、17年4月に「生産緑地法」が改正されるとともに、18年6月に「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」が施行された。

改正生産緑地法のポイントは、22年に全体の約8割の生産緑地が都市計画決定の告示後30年が経過する(「22年問題」)を踏まえ、30年経過後に買い取り申し出の開始時期を10年ごとに延長する「特定生産緑地制度」を創設し、この指定を受けた場合に限り、固定資産税等の軽減や相続税納税猶予の適用が受けられる仕組みである。

こうした対応に加え、もっとも重要なのは、都市部の周辺住民の理解と支えである。都市住民こそ、身近に農地があり、食料生産があることの大切さを今こそ再確認する必要があろう。

世界的な食料需給に目を向けると、2022年が明けてから、中国などの新興国の食料需要の想定以上の伸びが一層明らかになってきている。例えば、中国はすでに大豆を1億トン以上輸入してるが、日本が大豆消費量の94%を輸入しているとはいえ、300万トンだ。中国がもう少し買うと言えば、輸出国は日本に大豆を売ってくれなくなるかもしれない。コンテナ船も日本経由を敬遠しつつあるという。

50年に1度のはずの異常気象が毎年でも起こるような時代に、世界の生産が減って日本が買い負けるリスクは間違いなく高まっている。前々から警鐘を鳴らしてきたが、このところ、さらに事態は深刻化している。

こうした中、身近な安全・安心な食料生産を支え、自身も食料生産に参加する重要性が、間違いなく高まっている。都市住民こそが、身近な農地での食料生産を自身の命を守るのものとして捉え、農家とともに、生産の維持でなく拡大する方法を考えていく必要があろう。

さらに、多面的機能の面では、むしろ純農村より価値が大きい側面がある。特に、教育、心の安定、健全な心身の維持、などの機能だ。身近に田んぼや畑があり、水路にザリガニ、どじょう、ヤゴ、カブトエビ、カエルなどがいれば、また、牛やヤギに触れることができれば、ゲーム機にハマってしまう時間をどれだけ減らすことができるか、子どもの心身の発達に絶大な効果がある。

こうした点も踏まえ、都市部・都市近郊の身近な農地に、地域のみんなが関わって、生産にも参加し、維持でなく拡大し、地域全体で地元の農業と自分たちの食料と子どもたちの心身を支え、その中から次の農業の担い手も増えることを期待したい。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

鈴木宣弘・東京大学教授のコラム【食料・農業問題 本質と裏側】 記事一覧はこちら

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