【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「農村は国の本」~焚書として消された丸本彰造著『食糧戰爭』が復刻された2024年4月25日
戦後、GHQによって焚書になった丸本彰造『食糧戰爭』(新大衆社 / 昭和19年)の復刻版が経営科学出版から2024年2月7日に出版された。丸本彰造氏の著書で焚書になったのはこの1冊のみであることからも、いかに本書が特別に睨まれたかがわかる。
本書は陸軍の食料を司る責任者が戦争真っ只中に戦争遂行のために著した書物ではあるが、その内容は戦争という想定をなくして国民の命を守るための本質を考えさせる。
著者は「食糧自給体制の高度化」を力説し、「農村は国の本」であり、食糧こそ国防の第一線とし、農村の振興を訴えた。そして、減反政策に対しては、「減反は国防の将来を危うくする。国家が買い上げ全国の倉庫に籾貯蔵すべきである」と反論した。また、「人体の在る所には人体を作り上げる食糧がその付近にあること」を原則とし、「農業の姿を都市にも及ぼせ」とも主張した。まさに、「地産地消」、「ローカル自給圏」だ。
著者は力説した。貿易主義・外国依存主義は、①食糧の独立を軽視し、②国防の基礎を危うくし、③結局亡国となる。農業を国の本とし、食糧自給自足国を掲げ、かつ、玄米と日本的パンの普及も提唱した。
かたや、GHQの日本占領政策の第一は、日本農業を弱体化して食料自給率を低め、①日本を米国の余剰農産物の処分場とすること、②それによって日本人を支配し、③米国に刃向かえるような強国にさせないこと、であった。①のためには、日本人がコメの代わりに米国産小麦に依存するようにする洗脳政策も行われた。つまり、丸本氏の主張は、米国の思惑と見事にぶつかる、日本人に認識させてはならぬ「真実」だった。
その後、米国の思惑どおり、丸本氏が望んだのとは正反対の方向で、米国に支配され、グローバル企業に蝕まれる日本が出来上がったことは、期せずして題名が酷似の拙著『食の戦争~米国の罠に落ちる日本』(文春新書、2013年)とそれ以降の一連の拙著の叙述が如実に物語っている。
この復刻版『食糧戰爭』は農と食の重要性を再認識し、日本が真の独立を取り戻すために一読の価値がある。
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