Sagra della Porchetta Italica(イタリアの伝統的な焼き豚祭り)【イタリア通信】2025年9月20日
この夏、8月半ばにローマから200キロほど東のアブルッツォ州の海岸でバカンス中に「焼き豚祭り」のポスターを見つけたので行ってみました。
会場
会場は海岸から40キロほど内陸に入った人口7千人ほどの中世の町、カンプリ。焼き豚祭りはローマ近辺の町でもよく開かれているので、あまり期待せずに行ったのですが、この町の「焼き豚祭り」ちょっと違っていました。
丸ごとのポルケッタ
イタリアの焼き豚、ポルケッタは骨を抜いた丸ごとの豚の中にニンニクやローズマリーなどのハーブを詰めてゆっくりと焼く、ローマ時代以前から続く中部イタリアの伝統的な料理です。
このカンプリの町の「焼き豚祭り」は第一回が1964年に開催された、イタリアでもっとも古い焼き豚祭り。今年が54回目でした。
カンプリを中心とするアブルッツォ州のポルケッタは伝統的農産物(PAT)に認定されています。
町は中世に教会や修道院を中心に形成され、ルネッサンス期に教会や宮殿が作られて今日の姿になりました。
そして1772年には法王クレメンテ14世によって認められた「聖なる階段」が作られた巡礼の聖地でもあります。
町の全景サグラを主催する町のプロ・ロコ(観光協会)会長のPierluigi Tenerelliさんに話を聞きました。
「私たちのポルケッタは、伝統・品質・職人の技が生み出した卓越した産品、生きた歴史であり世紀を超えて伝わる文化なのです。使用する豚はカンプリの丘陵地で飼育される地元の豚で、地産地消。レシピは世代を超えて受け継がれ、ポルケッタ職人の家に大切に守られてきました。そして1575年には町の法律に町以外での販売方法が規定されています。
祭りの中心はポルケッタ職人たちによる競技です。今年は9人の職人がそれぞれの伝統的なレシピに従ってポルケッタを作りました。
審査は以前は最終日に一度きりでしたが、今では4日間にわたって行われます。色々な人に味わってもらうため、審査員はジャーナリスト、フード関係者、ワインやガストロノミーの専門家、公式パートナー、子ども審査員、批評家、コンテンツクリエイター、そして伝統ある「一般審査員」(カンプリ市民10人+市外の10人)と多彩です。参加はオンライン登録で行い、公開抽選で決まります。この仕組みが、コンテストをユニークで開かれた交流の場にしているのです。」
「今年の優勝者はカンプリ出身のフルヴィオ・パッロッタ。2位はネレートのヴィロ・ガリエ、3位はコッレダラのルチオ・ディ・ステファノです。
パッロッタのポルケッタは伝統の職人技を守りつつ革新性も感じさせる一品で、地域の歴史とルーツを大切にしながら卓越した味わいを追求しています。」
カンプリのリコ・アゴスティネッリ町長
町長(三色旗のたすきをかけている)と入賞者たち。
「このイベントは、私たちの町に深く結びついたものです。多くの人にとっては記憶と伝統のお祭りであり、また他の人にとっては新しい感情を体験する機会でもあります。町の中心の通りは、香りや色彩、そして笑顔で満ちあふれます。私たちのサグラとは、まさにこのこと。現在に生きる伝統であり、未来を見据えるものなのです。ぜひカンプリにお越しください。味、歴史、文化、自然の中で、この素晴らしい体験を楽しんでいただけます。」
そして「カンプリのサグラは伝統を今に生かし未来へつなぐもの」と語り、訪れる人々に美味しさと歴史、文化、自然を体験してほしいと呼びかけています。
取材に行った私は審査員のテーブルに引き込まれ、土地のワインを飲みながら、9種類のポルケッタを味見、みなとても美味しくて採点には苦労しました。市民から選ばれた審査員たちはお祭り騒ぎ(考えてみればお祭りですが)。一気飲みまでやっていました。
市民審査員の会場。一気飲みをする女性。
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