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(466)なぜ多くのローカル・フードはローカリティ止まりなのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月19日

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 世の中には、多くのローカル・フードがありますが、その大半はローカルまたはローカリティのレベルです。それはなぜなのでしょうか。

 前回までに、ローカル、ローカリティ、テロワールの意味の違いについて説明してきた。単なる地場産のローカル、それに文化的・習慣的な意味合いが加味されたローカリティ、さらに「科学的裏付け」を持つテロワールという形で概念を整理してきた。
 この枠組みで現代日本の食を見回すと、一部の例外を除けば圧倒的多数がローカルまたはローカリティのレベルにしか到達していないように見える。その原因は何なのだろうか。いくつか代表的な要素を考えてみたい。

 第1に、テロワールが求める基準は「科学的検証」だという点だ。これには現実問題として、相当の時間と費用がかかる。土地や気候、水質などが他と異なる特徴を持つ点を証明するには長期データが必要である。因果関係の特定には膨大な時間がかかる。対極にある事例として、かつての公害裁判などを思い出してみれば、それがいかに困難かを理解できるであろう。多くの小規模な地域産品は、科学的検証を実施するための予算も研究体制も備えていないのが実情である。
 第2に、小規模のために検証に必要な十分なデータが収集できないという問題がある。例えば、生産者が数人の地場産品では標準化や比較・統計分析などが困難な場合が多い。その結果、科学的な検証が蓄積できない。
 第3に、そのためマーケティングがどうしても「ストーリー(物語)」偏重になりがちである。具体的には歴史・文化・伝統などを強く打ち出す形になる。裏返せば、ローカリティを強くすればするほど、テロワールに必要な科学的因果関係が示されにくくなる。
 第4に、注目され需要が伸びるほど原材料の外部依存性が高くなる。○○県産●●を使用した△△県の□□...、という商品が増加する。その結果、特定産地独自の特徴であるテロワールの要素が低下するだけでなく、科学的な因果関係の証明がますます困難になる。
 第5に、制度的制約が不十分である。欧州などの同様の制度と比較した場合、日本の地理的表示(GI)などの要件は制度上も運用上も味の科学的根拠までは求めていない。厳しく言えば、文化的保護には役立っても、科学的根拠までは強制できない。

 ざっと見渡してみただけでも、これらの要素があり、科学的根拠を構築するよりは、むしろ文化的要素を強化する方向へ進めているような気がしてならない。
 もちろん、神戸ビーフ、宇治茶、いくつかの日本酒など、明確なテロワールの基準に到達し世界市場で優位性を構築している日本産品は複数存在する。それは飼料や品質管理を通じた一貫した生産体系だけでなく、研究機関とも連携して長期データを蓄積し、しっかりと科学的検証を繰り返し、厳格な規格と類似品排除の仕組みを構築してきた結果である。
 日本食や日本の農産物が世界市場で競争優位を構築していくためには、こうした先人たちの努力、とくに注目を浴びる前段階の努力をしっかり学ぶ必要がある。同時に、「ストーリー」に依存するだけのマーケティングからは早く脱却しなければならない。
 全国各地のローカル・フード、あるいはローカリティ・フードは、国内の限られたマーケットの中で生き抜くだけであれば、文化的・習慣的要素までを備え、その伝達方法として「ストーリー」戦略は有効である。情緒的に物語を楽しむ少数の顧客が対象だからだ。しかし、仮にもう一段上のステージに上げたいならば、多少時間と費用をかけても科学的根拠を示す努力が必要である。それこそが日本産農産物と日本食の未来への投資であろう。

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