【浜矩子が斬る! 日本経済】「高市政権初の施政方針演説にみる三つの発見」勘違い、根拠薄弱、逃げ2026年2月24日
2月20日に高市早苗首相の施政方針演説が行われた。筆者は高市氏をタコ市さんと呼んでいる。四方八方に向かって毒性に満ちた触手を伸ばして来るイメージが濃厚だからだ。今回の施政方針演説にも、タコ市さんのタコ足の舞いがふんだんに現れていたと思う。
エコノミスト 浜矩子氏
演説の中に列記されていた諸項目そのものは、既にタコ市さんの所信表明演説や記者会見への応答などに登場していたものだった。その意味でさしたる新鮮さがあったわけではない。だが、タコ市演説をテレビでライブ視聴し、その後にその全文を読んでみると、改めて各種の発見があった。ざっくり三つの発見である。一つは演説のトーン。その二がそこに欠けていたもの。そしてその三がそのアリバイ作りぶり。順次みて行きたい。
まずは演説のトーンである。実に断定的で強権発動的だった。「広範な政策を本格的に起動させます」「消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収が自然増に向かう『強い経済』を構築します」「政府が一歩前に出て」「企業の資源配分戦略を成長志向型に変容させていきます」。政府主導について来い。そう息巻いている。
民主主義国家において、国家は国民に奉仕するために存在する。それを忘れて、「消費マインドを改善」したり、「企業の資源配分戦略を変容」させるのだという。不遜である。
第二点に移る。タコ市演説に欠けていたもの。それは弱者救済のモチーフだ。今回も、弱者という言葉は演説の中に登場しなかった。格差という言葉も、そこにはなかった。経済が成長しさえすれば、全ての民が救われる。その論法一本やりで貫かれていた。何しろ、「成長のスイッチを押して、押して、押して、押して、押しまくってまいります」なのである。そのための「危機管理投資」と「成長投資」はタコ市さんが「戦略的」と認定した諸分野に集中的に投入される。
そういう世界、自分とは無縁だなぁと感じている人々のことには、頓着していない。成長のスィッチが押しまくられる中で、物価高にますますさいなまれる人々が出て来た時、どうするつもりか。
この点と関わるのが、第3点だ。アリバイづくり問題である。タコ市演説の中に次の文言がある。「全ては国民の皆様のため」。税制改正も26年度予算の成立も急ぎたい。その意志を表明するくだりの枕言葉だ。何とも取ってつけた観がある。
さらに目を引いたアリバイづくりが二つある。その一が「責任ある積極財政」に関わるもの。その二が「働き方改革」関連だ。
「責任ある積極財政」について、次のように言われている。「成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げていきます。そのことにより、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していきます。(中略)こうした財政規律にも十分配慮した財政政策こそが、高市内閣の『責任ある積極財政』です」。明らかに、これは後付けだ。投資家たちの財政危機懸念に当面し、「規律重視でございます」とアリバイづくりしている。2026年予算の巨大さ、いまや社会保障費を上回る国債費の規模、向こう5年間に渡って赤字国債の発行を可能にしようとしていることなどをみれば、このアリバイづくりはなかなか根拠薄弱だ。
面白いのが働き方改革へのこの演説における言及だ。所信表明演説の段階では、残業時間に関する上限規制が人々から働く機会を奪っているという論調だった。だが、実をいえば人々はそれほど働く時間を増やしたいと思ってはいない。だから、この演説では「裁量労働制の見直し、副業・兼業に当たっての健康確保措置の導入、テレワークなどの柔軟な働き方の拡大に向けた検討を進めます」という風にお茶を濁した。こういう逃げ切り戦術で我々を愚弄するな。
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