【農協研究会】総合事業さらに強化を JA鹿児島きもつき 下小野田寛代表理事組合長2022年12月8日
12月3日に開かれた農業協同組合研究会の2022年度第2回研究会「金融環境に揺れる自己改革実践サイクルと早期警戒制度への対応」では、第1報告(農林中金・秋吉常務:JAバンクの対応)と第2報告(JA横浜・波多野専務:JA横浜の自己改革)をうけてJA鹿児島きもつきの下小野田寛組合長がコメントした。

早期警戒制度という言葉からは、何か大変なことが起きる、業務改善命令という言葉も真っ先に頭に浮かんだ。
ただ過剰に恐れる必要はなく、むしろ前向きに受け止めるべきと思う。金融行政が大きく転換しているなか、過去の実績ではなく未来を見るなど固い金融行政も変わってきている。
地銀が地域商社を設立して農業に進出しているというが、地方は農業が大きな産業であり当然のこと。JAと競合するのは当然と思うが、そのことを脅威に感じる必要はないと思う。ライバル関係にはあるが、地域をより良くしたいという理念がある金融機関、会社とはコラボする必要があると思う。
JA横浜は自己改革の取り組みとして買取販売の強化や、正組合員と准組合員を分けて情報発信するなどの取り組み、さらにKPI(重要実績目標)を掲げてるのは素晴らしい。
早期警戒制度の対して後ろ向きの改革になっている感があるがいかに前向きに受け止めていくかが問われている。
JA鹿児島きもつきでは、2020年からの10年プラン「ネクスト10」を打ち出した。10年程度のスパンで構想する必要があると思う。
今は資本主義のさまざまな課題が浮かび上がり、たとえ今こそ協同組合の出番でこの難局を組合員とともに乗り越えていくのが農協だ。資材高騰で農業経営が厳しいなか、資金繰りが苦しく融資の申し込みも増えているが、購買事業も伸びており、さらなる総合事業化を進める必要があると考えている。
今までの4本の柱である信用、共済、購買、販売事業に加えて、2つの事業を加えていこうと考えている。
1つはJAとして農業経営を行うこと。繁殖牛、養豚、園芸で子会社を3つ作った。産地のブランド化にはある程度のボリュームが必要でそれをJAも担おうということだ。
もう1つはフード事業。それまで手がけたことがなかったが、3年前に県内最大面積の直売所をオープンした。順調に売り上げは伸び、准組合員も増えている。JAに縁がなかった方がイベントに参加している。
農協の強みを発揮するとするなら、総合事業のさらなる総合事業化だと思う。
貯金は1000億円だが、これは農家の財産。10年かけてこの財産を2倍にしたい。その原動力は販売事業。今の300億円を400億円に増やすなかで財産も増やしたい。農家をはじめ地元で頑張る方を応援するJAでありたいと思っている。
(関連記事)
・今こそ「総合農協の強み」発揮を 金融環境の荒波にJAはどう立ち向かうか 農協研究会
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