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【農協研究会】経済事業改革で販売力強化 事業全体の健全性の確立を JA横浜専務 波多野優氏2022年12月7日

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JA横浜は貯金残高1兆8000億円(令和4年10月末現在)を超える典型的な都市農協だが、信用・共済事業に依存するのではなく、農業者の所得増大に向けた自己改革に向けた自己改革実施計画を策定し、営農・販売支援に積極的に取り組んでいる。特に大消費地に近い条件を生かした農畜産物の販売に力を入れており、波多野優専務は「主力の買い取り販売を強化し、横浜産農畜産物のさらなる普及・拡大をめざす」と、営農経済事業の確立に努めている。

JA横浜専務 波多野優氏JA横浜専務 波多野優氏

横浜市は378万人の消費者がおり、農畜産物の売り先に恵まれた大消費地である。従ってJA横浜の農業は少量多品目栽培が特徴で、農協を通さなくても販売できるので、JAの出荷量の割合が低い水準にとどまっている。

このためJA横浜は、平成28年度の農協法の改正に伴い、組合員との徹底した対話に基づき、「農業者の所得増大に向けた農業支援強化」を基本目標とする自己改革実施計画を策定し、営農支援農強化・生産コストの低減・販売力の向上・6次産業化など新規分野への取り組みを積極的に進めてきた。

それには、自己改革を実践するための具体的な方針と組合員の意思反映という三つの大きな柱がある。まず具体的な方針として数値目標(KPI)を設けた。JA横浜の主力である買い取り販売を、令和6年に6300万円増やす計画(令和3年度実績7億5900万円)である。

このため移動販売や出張販売などによる販売機会の創出に力を入れている。また農畜産物直売所の「ハマっ子」の売り上げ拡大をめざすイベントを同じく令和6年度には90回(令和3年度39回)開き、1回あたりの農業所得10万円の増大を見込んでいる。また買い取り販売を有利に進めるには、品種の統一と量の確保のため生産者のグループ化が必要と考えている。

二つ目の柱は、自己改革を実践するために必要な組合員の意思反映である。支店における正組合員や准組合員との日々の交流をはじめ、支店運営委員会、組合員説明会、支部座談会などでの組合員との対話を実施するとともに、改革の評価の把握に努めている。

特に准組合員に対しては「正組合員とともに地域農業と地域経済の発展を支える横浜農業振興応援団」と位置付けて、声を聞き取り、正組合員と准組合員が一体となったJAの運営をめざしている。

そして三つ目の柱が自己改革を支える経営基盤の確立・強化。金融機関を取り巻く経済環境は厳しくなっており、JA横浜でも収益の基盤である信用・共済事業の大幅な減収が見込まれます。一方で経済(販売・購買)事業は慢性的な赤字で、11億円前後のマイナスで推移している。

こうした情勢から、現状のまま事業改革を進めなかった場合の成り行きシミュレーションをすると、3年後(令和7年度)には、事業利益が当JA始まって以来の赤字になる見通しで信用・共済事業の大幅な減収が見込まれる中、今後は販売力の強化など、営農経済事業の改革に向けた改革を進める必要がある。

しかし、現実は低金利政策で収益が上がらず、逆に金利上昇で資産を毀損する可能性もあり、結果として店舗統廃合、店舗営業体制の縮小、人員整理など、後ろ向きの改革になっている感じがする。

JAとしては現在、一定の経営の健全性を確保していても、将来にわたって持続させなければならない。金融庁の早期警戒制度に関しては、総合事業を営むJAとして、信用事業のみならず共済、販売、購買などの各事業を通じ、経営全体として十分な健全性を確保しているかという視点が求められている。

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