農林中金 資本増強を表明 1.2兆円2024年5月23日
農林中央金庫の奥和登理事長は5月22日の決算会見で1兆2000億円の資本再構築を実施する方針を明らかにした。
農林中央金庫の奥和登理事長
2018年にも国際金融システムの規制強化に対応して資本の質と量を充実させるため1兆円の資本再構築を行った。
今回は米国など海外金利の上昇で欧米の債券が値下がりし、評価損が拡大しているため、低利回りの資産(債券)を売却し高利回りの資産に入れ替えていくことが目的。
資本再構築は、資本への転換条項付きの劣後ローン7000億円を「後配出資」に転換して質を高める。また、新たに期限付きの劣後ローンを5000億円調達して資本の量を拡充する。現在、会員と協議をしている。
3月の債券の評価損額は2兆1923億円となっている。奥理事長は会見で債券等の売却損がどの程度の規模になるか見通せないとしつつ、資産に入れ替えの過程で「赤字を覚悟している」として、現時点で2024年度は「5000億円超の赤字を見込む」ことを明らかにした。
そのうえで「いただいた投資余力を活用しながら2025年度以降の財務の安定、黒字化を含めてポートフォリオの入れ替えをしっかりやっていきたい」と述べた。
また、生産資材高騰など「農林水産業が大変なときにサポートすべき農中が役割を果たせなかったことは心苦しい限り」と話し、責任については「職責をまっとうしてこの難局を乗り切ることで責任を果たしたい」とした。農林中央金庫は同日の経営管理委員会で6月21日開催の通常総代会を経て就任する予定の役員を選任したが、奥理事長ら理事は再任された。理事の報酬の減額は行うという。
今年度の事業については、JAなどへ「収益面で貢献できなければ、事業が少しでも効率的に動くようコンサルなどで役割を果たしていきたい」と語るとともに、資本増強については「まだまだ理解をいただく努力の最中」で、会員との協議は9月末まで続ける。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日