穀物の世界的な収量予測法を新開発 農研機構2019年1月17日
農研機構農業環境変動研究センターはAPEC気候センター(APCC)と共同で、穀物の世界的な収量変動を予測する方法を新たに開発したと1月16日に発表した。
農研機構と韓国にあるAPCCは共同で、アジア太平洋地域の主要な気象機関のうち5つの機関が作成した全世界を対象とする気温と降水量の季節予測データを用いた、収量変動(前年の収量に対して当該年の収量が多いか、少ないか)を予測する新たな方法を開発した。
平年収量ではなく前年の収量を基準にすることで、気象条件に由来する収量変動を捉えやすくなる。この方法は従来の方法に比べ、使用する季節予測データ量が5倍になり、それに伴い予測性能が向上する。その結果、コムギ、コメに加え、トウモロコシとダイズの予測も可能になり、収穫3ヵ月前に収量変動予測が可能な地域は世界の収穫面積の約3~4割にまで増えた。とくにコメでは2.5倍も予測可能な地域の面積が増加した。
地理的にある程度まとまった地域の予測ができないと国別収量の予測は困難だが、この方法では、4種の穀物全てについて、一部の主要生産国を含む世界の生産国の約1/4で予測が可能となった。米国農務省などの食糧機関が公表する農産物需要見通しは、国別のデータを使用しているものの異常天候の影響を考慮してないため、この方法による予測はこうした既存の見通しを補完するものと期待される。
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