米:29年産米の作柄見込みと30年産米の課題
【本紙緊急米調査・全国主要219JA】天候不順も収量は平年並み 未熟粒など品質低下を懸念2017年9月20日
 29年産米は各地で出来秋を迎えているが、今年は北・東日本では冷夏、西日本では猛暑と天候不順でゲリラ豪雨や台風による甚大な被害もあった。こうした状況のなか、本紙は現場の作柄見込みを探るとともに、生産調整施策の見直しがスタートする30年産からの取り組み課題などを全国主要219JAの米担当者に聞いた。集約した結果、作柄は平年並みとの見込みだが、東日本では日照不足などによる登熟不良や、西日本では高温障害も懸念された。また、30年産以降も生産調整への取り組みは不可欠で、農家収入を下支えする国の施策が必要だとの声が多くを占めた。
◆全国作況「100」程度
 調査は9月4日から13日にかけて主に聞き取りで実施し全国219JAから回答を得た。調査はJAの営農指導、販売部門などの米担当者を対象に行った。
 調査は9月4日から13日にかけて主に聞き取りで実施し全国219JAから回答を得た。調査はJAの営農指導、販売部門などの米担当者を対象に行った。
 各現場の主力銘柄について29年産米の作柄を予想作況指数として聞いた。各県別に平均したのが表である。一部の地域で95~96と不良を予測する声もあったが、集約すると「100」となった。九州の一部(鹿児島、大分)では、昨年より作柄がよいとの見方もあった。
 1等米比率はもともと地域によるバラツキが大きい。昨年の数値と29年産米見込みが大きく下がる地域は見られないが全体として昨年より1等米比率の低下を見込んでいるとの結果だ。

◆カメムシ被害は全国的
 今年の天候について北・東日本からの回答を集約すると、7月までは気温、日照時間、降雨とも平年並みか、または日照が多く降雨が少ないという状況だったことが伺えた。それが8月以降は低温と長雨で多雨となり、日照時間も少なかった。青森県からは「8月始めからやませが吹き登熟遅れ」、「JAの調査では不稔が4割」との声もあった。秋田県は2度集中豪雨があったが「8月以降は高温で推移」との回答もあった。ただ宮城県では「8月は平年の10%程度の日照時間」との声もあった。
 北陸も「出穂期前後が低温」(新潟)、「日照不足とゲリラ豪雨」(富山)など。関東は「気温が高い割に日照不足。草丈が長く倒伏も」(栃木)などの声があった。
 一方、中部・西日本は「8月以降日照多く、刈り取りが早まった」(島根)、「高温障害多い」(徳島)、「高温で心白、腹白、カメムシの発生が例年より多い」(福岡)、「収量はいいが高温で品質低下」(佐賀)などがあるほか、「ほ場の状態は非常にいい。収量が期待できる」(熊本)との声もあった。

 病害虫の発生状況を集約したのがグラフ1。低温が続いた東北や関東、湿度が高かった九州の一部ではいもち病の発生、発生懸念がみられるが、全国的にカメムシ被害の発生がある。九州ではウンカの発生も懸念された。「猛暑による胴割れなど高温障害」と「低温・日照不足による登熟不良」を聞いたところ、グラフ2、3に示されているように北・東日本では低温・日照不足、西日本では猛暑による影響が多いことが示された。ただ、一部地域によっては早生、晩稲など品種や、標高などによって両方の影響を受けているとの回答も少なくない。

◆組合員の所得向上へ
 緊急調査では併せて30年産以降の課題と求められる政策について聞いた。
 JA担当者が強調したのは「減反廃止ではなく生産調整の取り組みが必要」なこと。JAも生産者に説明するが、国や行政が生産現場にもっと働きかけを続けるべきだということが強調された。
 さらにもっとも現場が不安と不信を持っているのが、やはり10a7500円の直接支払交付金の廃止だ。「せっかく効果が出てきたのになぜ止めるのか」と、飼料用米の取り組みで過剰作付を解消し主食用米の価格が目に見えて回復した政策効果と矛盾する"政策転換"にやはり反発は強い。
 同時に業務用需要にもっと応えて「やはり主食用をもっと作ろう」という指摘も今年は多かった。そのためにJAとして実需と結びつきを強めたいとの声は多く、販売力の強化が課題だとした。そのなかで「農協の役割は組合員の所得向上。生産者がどれだけ作ってもきちんと売り先を確保することが大事ではないか」との指摘も聞いた。

明日からJAのコメ担当者の声をブロック別に掲載します。
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