「お米に代わるものはない」 去年より高い新米 スーパーの売り場では2024年11月15日
24年産の新米の小売価格は去年より6~7割高い。相対取引価格の上昇が小売価格にも反映した形だが、売り場ではどう受け止められているのか。
産地の事情にも思いを致すフジマート月島店(東京都中央区)の責任者、佐藤雄三さん
11月中旬、東京都内のスーパー、フジマート月島店(中央区)を訪ねた。端境期の品薄がウソだったかのように、米売り場の棚には、24年産の新米がぎっしり並ぶ。価格は精米5キロ3500円~4000円が中心で、比較的安い茨城産・千葉産のコシヒカリ、茨城産あきたこまちで3000円をわずかに切る程度だ。
同店の責任者の佐藤雄三さん(39)は、「うちは端境期にも入荷が多かったので、他店で買えなかったお客さんが多く来ました」と話す。仕入れが途切れなかったのは、長年お付き合いのある卸業者が頑張ってくれたからだ。
いま並ぶ新米は、去年の同時期より6~7割高い。総務省の統計でも、24年10月のうるち米小売価格は、コシヒカリが3787円で前年同月比+60.0%、コシ以外が3792円で同70.4%と、9月より500~600円一段上がった。
佐藤さんは、「ある程度高くなっても売れてくれるのが一番です。米価があまり低いと、米づくりが続けられないし後を継いでくれる人もいなくなるでしょう」とし、こう続けた。
「やっぱり、お米に代わるものはないですから」
米穀機構の11月8日の発表では、向こう3ヵ月で米の需給が「締まる」という見通し判断DIは66(前月から+6)、米価についての向こう3か月の見通し判断DIは「高くなる」が59(前月から+2)で、需給は引き締まっており、現在の米価が当面続くという見方が流通関係者には根強い。
他方、スーパーでの販売数量(全国約1000店舗のPOSデータにもとづき農水省作成)は、9月2日以降の週は前年を下回る水準で推移し、10月28日~11月3日の週は対前年同期▲10%の低下だった。フジマート月島では売り上げは落ちていないが、佐藤さんも「(この米価に)どこまで消費者がついて来られるか」との懸念も口にした。
農水省の卸業者からの聞き取りでも「10月以降、特売を行っても売れ残りが出るなど売れ行きは鈍って(いる)」「関西地方でも......9月下旬ころから、スーパー等での販売量は大きく減少し、その状況が続いている」と報告されている(農水省「米のスーパー等への納品状況について」令和6年10月21日時点)。現在の米価が定着するかどうかは、今後の消費動向で左右されそうだ。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(121) -改正食料・農業・農村基本法(7)-2024年12月7日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(38) 【防除学習帖】第277回2024年12月7日
-
農薬の正しい使い方(11)【今さら聞けない営農情報】第277回2024年12月7日
-
水田活用の直接支払交付金 十分な予算を 自民議員が農相に要請2024年12月6日
-
(412)寿司とピザ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月6日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】議論の前提が間違っている~人口問題、農業就業者問題2024年12月6日
-
JA共済連が「隠レア野菜プロジェクト」に取り組む理由 食品ロス削減で地域貢献へ2024年12月6日
-
国産飼料増強 耕畜連携を農業モデルに 企画部会で議論2024年12月6日
-
農林中金がグリーンボンドに300百万豪ドル投資 生物多様化の保全啓発に寄与2024年12月6日
-
鳥インフル 米オレゴン州、テネシー州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月6日
-
JAみっかび「三ヶ日みかん」7日放送のTBS『王様のブランチ』に登場2024年12月6日
-
家畜へ感謝 獣魂祭で祈り JA鶴岡2024年12月6日
-
「秋田県産あきたこまち40周年記念フェア」仙台と銀座の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年12月6日
-
野菜の総括 2024年は野菜にとって苦難の年 タキイ種苗2024年12月6日
-
米を選ぶ理由は「おいしいから」63.1%「お米についてのアンケート調査」日本生協連2024年12月6日
-
熊本県産デコポンPR 東京・大阪で初売りセレモニー JA熊本果実連2024年12月6日
-
「奈良のいちごフェア」9日から開催 ホテル日航奈良2024年12月6日
-
雑穀の専門家を育成「第8回 雑穀アドバイザー講座」開催 日本雑穀協会2024年12月6日
-
埼玉に「コメリハード&グリーン秩父永田店」12月21日に新規開店2024年12月6日
-
アイリスオーヤマ 宮城県と包括連携協定締結 パックごはん輸出で県産米販路拡大へ2024年12月6日