米:2019年 農協協会 「JAの米実態調査」から
【JAの米実態調査から・1】生産量は5年後も変わらない― 5年後の水田農業を全国のJAが予測2019年8月29日
(一社)農協協会では、毎年「JAの安心・安全な米づくりと防除対策について」の実態調査を実施してきているが、2019年の調査結果がまとまったので、その主要な部分を、米の作付関連と防除対策に分けて紹介する。
<調査の概要>
この調査は、水稲作付面積100ha以上の全国562JAを対象に、各JAの水稲関係担当の方(営農・購買)にご回答いただいた。調査方式は、郵送による自記入式アンケート調査で、調査期間は2019年2月25日~5月31日。回答数は509件(回収率90・6%)。
【回答JAの地区別件数】
▽北海道=47件(回収率97・9%)▽東日本地区(東北6県、関東7都県、甲信越3県、北陸3県)=220件(回収率90・9%)▽西日本地区(東海4県、近畿6府県、中国5県、四国4県)=165件(回収率91・1%)▽九州地区(九州7県、沖縄)=77件(回収率84・6%)
◇ ◇
【作付面積と集荷率】担い手への集積進む
回答の1JA当たり(以下、とくに断りがない場合は1JA当たりの数値)の全国平均水田面積は3466haで、集荷率は53%となっている。昨年の調査では水田面積3530ha、集荷率53%だったので、水田面積は微減、集荷率は前年並みだといえる。
地区別の平均をみると、北海道が2974ha(昨年調査より57ha減)の81%、東日本が4523ha(同32ha減)の60%、西日本が2479ha(同5ha減)の38%、九州が2796ha(同518ha減)の43%となっており九州での減少が目立つ。また集荷率は昨年と同様に東高西低となっている。
担い手への集積率は、2018年度は全国平均で39%だったが、5年後の23年度には47%に増えると予測されている。とくに北海道では74%から77%に、東日本では41%から50%へと集積率が高まると予測されている。
【主食用米】面積減るが生産量は微増
図1は主食用米の作付面積と生産量について聞いたものだが、全国平均では、面積は5年後の13年にはやや減少するが、生産量は微増すると予測されている。西日本や九州では面積・生産量ともに減少すると予測されているが、北海道と東日本では面積は減るが生産量は増加すると予測されているのが注目される。
なお、18年産米の平均反収は、全国494kg、北海道476kg、東日本515kg、西日本487kg、九州461kgとなっている。
(以後、とくに断りのない限り、増減は18年産との比較)
【加工用米】全国的に減、九州は増
図2は加工用米について聞いた結果だが、面積・生産量ともに全国的には5年後に減少すると予測されている。
地域別にみると、北海道、東日本、西日本では面積も生産量も減少すると予測されているが、九州では面積が117haから126haへ、生産量が561kgから625kgへ増加すると予測されていることが注目される。
平均反収、全国521kg、北海道516kg、東日本539kg、西日本503kg、九州488kg。
【飼料用米】全国的に大きな変化なし
図3は、飼料用米の結果をまとめたものだが、全国平均では面積も生産量も大きな変化はないと予想されている。
地域別にみると、北海道は面積・生産量ともに微増、東日本は面積は微減だが生産量は微増、西日本は面積に変化はないが生産量は微減すると予想されている。九州は前回調査では面積が13・8%、生産量が8・8%増加すると予測されていたが、今回調査では面積は微増するが生産量は微減するという結果になっている。
平均反収は、全国536kg、北海道548kg、東日本557kg、西日本510kg、九州513kg。
【輸出用米】増加すると予測
図4は輸出用米についてだが、面積・生産量とも全国平均で5年後には18年産米より37%増えると予測されている。ただし、回答JA数が、北海道14、東日本58、西日本12、九州2の合計86と少ないことを前提に見てほしい。
地域別には、とくに目立つのが九州だ。面積が15haから42haへ2・8倍、生産量が84㌧から220㌧へ2・6倍も増えるとみられている。その他の地域でも九州ほどではないにしても、面積も生産量も増加すると予測されている。
平均反収は、全国533kg、北海道508kg、東日本544kg、西日本511kg、九州538kg。
【転作大豆・小麦】北海道・九州で増加
図5は転作用の大豆と小麦の作付面積だ。
大豆は、北海道と九州では作付けが増えるが、西日本で減少し、全国平均ではほぼ横ばいと予想されている。
小麦も北海道と九州では増える予測しているが、西日本で減少し、全国平均はほぼ横ばいとみている。
なお平均反収は、大豆の場合、全国137kg、北海道197kg、東日本145kg、西日本104kg、九州139kgとなっている。
小麦は、全国287kg、北海道347kg、東日本282kg、西日本264kg、九州291kg。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日
-
キウイブラザーズ新CM「ラクに栄養アゲリシャス」篇公開 ゼスプリ2025年4月30日
-
インドの綿農家と子どもたちを支援「PEACE BY PEACE COTTON PROJECT」に協賛 日本生協連2025年4月30日
-
「日本の米育ち 平田牧場 三元豚」料理家とのコラボレシピを発表 生活クラブ2025年4月30日
-
「子実トウモロコシ生産・利活用の手引き(都府県向け)第2版」公開 農研機構2025年4月30日
-
「金芽ロウカット玄米」類似品に注意を呼びかけ 東洋ライス2025年4月30日
-
令和7年春の叙勲 JA山口中央会元会長・金子光夫氏、JAからつ組合長・堤武彦氏らが受章2025年4月29日
-
【農協時論】農政の基本理念と政策へのJA対応 宮永均JAはだの組合長2025年4月28日
-
【'25新組合長に聞く】JAようてい(北海道) 金子辰四郎組合長(4/11就任) 「国民の胃袋」支える誇り胸に2025年4月28日
-
経営支え夢を応援 地域農業の発展、金融の力で 先進事例にみるJA・信連の取り組み(上)2025年4月28日
-
全農 備蓄米 4月に5万5000t出荷2025年4月28日
-
経営支え夢を応援 地域農業の発展、金融の力で 先進事例にみるJA・信連の取り組み(下)2025年4月28日