【中酪受託乳量】2カ月連続減産 都府県5000戸割れ目前2026年1月19日
中央酪農会議は15日夕方、2カ月連続減産の12月の販売受託乳量を発表した。指定団体の受託酪農家戸数の減少に歯止めがかからず、都府県は5000戸割れが迫ってきた。飲用牛乳需要不振が続く。生乳需給改善が最大課題だ。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)
酪農家1万戸割れで危機感を訴える全国の生産者ら。だが離農は進み9000戸割れも迫ってきた
(2024年12月、東京・JR有楽町駅前で)
■年末年始の生乳廃棄回避「乗り切った」
中酪の12月と第3四半期(2025年4~12月)の販売乳量を読み解く前に、Jミルク最新の「需給短信」を見よう。16日公表で、牛乳最不需要期に当たる年末年始、今年度の場合は1月12日までの3連休含む生乳廃棄回避への完全処理は正式に「混乱なし」と明記した。
指定団体と主要メーカーを中心とした広域需給調整と加工処理など酪農・乳業関係者の協調体制の結果だ。同短信で「年末年始の生乳処理は予断を許さない状況だったが、関係者が円滑な処理に取り組んだ結果、大きな混乱は確認されていない。現在は学校給食牛乳供給の再開で需給緩和はピークアウトした」とした。
一方で廃棄危機は3回あるとして、年末年始に引き続き小中学校の春休み期間や5月大型連休で再び需給緩和が懸念されるため、「業界一丸の需要拡大や生乳処理の最大化へ需要調整が重要だ」と指摘した。
■全国受託戸数9000戸割れ近づく
12月の指定団体受託乳量は前年度対比99・9%とほぼ前年度並み。一方で足元の酪農家の離農、減少は歯止めが効かない。
受託酪農家戸数は販売乳量確認と同時に把握される。中酪が受託戸数1万戸の大台割れを公表し、メディアで大きく報じられたのが1年2カ月前の2024年12月初め。中酪は「1万戸割れで危機感を抱いたが、次の段階である9000戸割れが近づいている。生産基盤の維持・強化を急ぐ必要がある」と懸念をあらわにする。
中酪によると直近(11月現在)の受託戸数は9327戸。うち北海道は4143、都府県は5184。年末や年度末は経営の区切りや、北海道の農業経営収支の仕組みであるクミカンによる借入金整理などの関係で例年、今後の経営継続をどうするか判断するケースが多く、結果的に離農が増える。
直近の受託戸数9327は、2024年度末(25年3月)の9705戸に比べ378戸減少した計算だ。この減少率が続くと、あと1年以内に9000戸の大台割れとなる。主産地の北海道は12月に前年度対比わずかだが増産に転じるなど、搾乳の主力となる2歳以上の乳雌牛頭数が減少しているにもかかわらず、生産者乳価が堅調なこともあり増産意欲は比較的高い。
一方で懸念されるのは都府県の動向だ。現在の5184戸は早晩、4000台にまで減少するのは時間の問題と見られるだけに、別途、後継牛確保への増頭奨励など生産基盤維持・強化対策を急ぐ必要もある。
■北海道は再び上振れ
販売乳量と連動する12月の中酪総受託乳量は56万9761トン、前年度対比99・9%と、2カ月連続で前年実績割れとなった。ただ、北海道は11月の減産から一転、12月は33万1491トン、同100・3%とわずかながら増産と、再び上振れした。
25年度第3四半期(4~12月)は全国で前年同期比100・8%、うち北海道は同101・6%、都府県99・7%。北海道が乳雌牛の減少から今後の生産動向が減産傾向となるかで、年度末の3月の着地点での全体生乳生産量が変わってくる。
■業界挙げ牛乳消費拡大、脱粉在庫削減
中酪の用途別販売では、あらためて今後の生乳需給の懸念材料が明らかになった。
生乳需給全体を左右する飲用牛乳の伸び悩みが深刻なことだ。不需要期という季節的な要因を差し引いても、関係者の間では需要が伸びないことに不安を募らせている。
12月の飲用牛乳等販売量は前年同期比98・1%。うち北海道96・0%、都府県98・8%。第3四半期での同98・7%。うち北海道97・6%、都府県99・1%。北海道の不振が全体需給に暗い影を投げかけているのが分かる。
飲用不振の結果、加工向け生乳が増える。脱脂粉乳、バターの12月販売量は同101・9%、第3四半期で同105・7%と、当面の生乳需給緩和の課題である脱粉在庫が積み上げる仕組みだ。
ただ、最新のJミルク「需給短信」では、飲用牛乳販売個数が2週連続で前年超えとなった。25年12月29日週で前年同週比100・1%と、実に12週(3カ月)ぶりに前年水上を上回った。年明け1月5日週も同100・9%と2週連続で上回り、増加幅が拡大した。業界挙げた牛乳消費拡大の努力が徐々に浸透しつつある。
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