第8回JA営農・経済フォーラム 実践報告⑤JAしまね 山根盛治副組合長2022年9月22日
JA全中は8月30日と9月2日、横浜市と大阪市で「次世代担い手の確保に向けて」をテーマに第8回JA営農・経済フォーラムを開いた。フォーラムで報告された先進事例を順次、紹介する。
【実践報告⑤】
事業承継に総合力活用
JAしまね 山根盛治副組合長
JAしまね 山根盛治副組合長
JAしまねはTACを中心とした事業承継に力を入れている。22人のTACが月平均100戸の組合員を巡回する一方、部門間や支店との連携、税理士や司法書士など専門家との連携体制をつくり、事業承継につなげる対象を設定してアプローチしている。
事業承継はプライベートなことで支援しにくいと考えもあったが、JAの総合力を発揮した支援として取り組もうとスタートした。
担い手に対しても事業承継に対する啓発のちらし発行や県農業大学校での講義を通じて周知していった。
これまでにJA青年連盟の盟友の後継者に、事業承継ブックを活用して親子間で話し合いのきっかけをつくり、兄弟で引き継ぐという事例や、農業経営管理支援事業の一環で経営コンサルを実施したことから事業承継につながった例など実績をあげてきた。
担い手にとって本音で農業経営について議論できる場づくりとなるとともに、計画的な引き継ぎによる経営の一貫性の維持などの成果が出ている。JAにとっては組合員と信頼関係が強固になったほか、JAへの支援要望が増えるなど周辺農家にも活動の影響が波及している。
親世代からは、若手の悩みや熱い思いが初めて聞けた、経営に対する意見や要望が組織運営の参考になったなどの声が寄せられている。
後継者からは親の苦労や歴史が分かり、やる気が一段と強くなった、どのタイミングで何を引き継ぐのかが明確になり、モチベーションの向上になったという声も出ている。
事業承継は農業の後継者対策であり、JAの次世代組合員対策でもある。JAでは役割分担を明確にするとともに、部門間連携が不可欠でJAの総合力を発揮した取り組みを行うことが必要だ。
一方、新規就農者確保の取り組みでは、安来市と連携して就農から定住までをパッケージにした支援を行っている。指導農業士のもとでの研修や、集落内での話し合いによる受け入れ体制、リースハウス事業などで支援をしている。
Iターンの新規就農者のなかには有機栽培に取り組むグループも出てきた。JAが販売先を開拓するなどのつながりも構築されてきた。技術、農地、住宅、経営など一体となった新規就農支援が必要だ。
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