JA全国大会議案を決定-JA全中2015年10月2日
JA全中は10月1日の理事会で第27回JA全国大会議案を決めた。「創造的自己改革への挑戦」とテーマを掲げ、農業者の所得増大と農業生産の拡大を自己改革の最重点課題として、すべてのJAで取り組む。
◆JAの特色いかして
JA全中は7月に組織協議案をまとめ9月初めまでに各地で議論をしてきた。JA全中によると組織協議案に対して全国から1016件の意見が寄せられたという。
全中によるとおもな意見としては「どこを向いて改革するのか。政府におもねりすぎずあくまで組合員のための改革を」、「連合会、中央会はどうJAをサポートするのかもっと明確に」、「農業者の所得増大はJAだけでなく政策も重要」、「営農・経済事業への経営資源のシフトというが採算悪化が懸念される」などがあったという。これらの意見や総合審議会での議論もふまえて正式に大会議案として決定した。
今回の大会は農協法改正を受け、JAグループの自己改革が内外から注目されるなかでの大会となる。総審の議論では「従来と同じ改革ではなくより創意工夫が必要」、「全国一律ではなく、組合員の願いの実現に向けてJAが特色を持って取り組むことが大切」などの指摘がされたほか、今回の農協法改正で"農業者の協同組合"としてより職能組合としての性格が強調されるなか、「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」の実現も重要になることも強調されたという。
基本目標を「農業者の所得増大」と「農業生産の拡大」と設定し、これに都市部も含めたすべてのJAで取り組む。そのためにマーケットイン発想での生産・販売事業方式への転換や、低コスト生産技術の確立、普及といった6つの最重点分野に基づいて各JAが取り組み施策を策定、実践する。
その際、組合員との徹底した話し合いが重要だが、同時に、大規模担い手経営体、主業農家、多様な担い手など「組合員類型」をJAごとに決めて取り組み施策を考えていくことが大切となる。さらに現在はJAと取引関係がない農業者、法人なども念頭に置いた施策検討も考えられる。
「農業者の取得増大」の共通目標は「販売品販売高の拡大」とした。有利販売による単価アップと需要に応じた生産量の拡大でJAとして「農畜産物等の販売収入」の向上を図り、組合員への貢献をめざす。ただ、組織協議でも意見があったように所得増大には政策支援が不可欠なことから、大会議案に「国および地方自治体と連携した農業政策の確立」を明記し、国や地方自治体に対して、担い手育成や経営所得安定対策などの農業政策の確立も求めていくとしている。
◆准組合員をパートナー
「地域の活性化」の実現に向けては総合事業を通じた生活インフラ機能の発揮とJAくらしの活動を通じた地域コミュニティの活性化を進める。また、地方創生に向けた地域版の総合戦略づくりが各自治体で進められているなか、JAの農業振興策や地域づくり策なども含めJAの役割が位置づけられるよう自治体に働きかけていくことも議案に明示した。
今回の議案では「組合員のアクティブ・メンバーシップ」の強化も打ち出した。
JAは組合員が主人公であり、出資し利用し運営に参加する。しかし、今回の農協改革の議論のなかでは組合員と離れて組織のあり方に焦点があたったという指摘もある。今後取り組む自己改革では、組合員が「わがJA」意識を持ち積極的にJAの事業・活動を利用するよう、意志反映や運営への参画について、組合員と向き合いメンバーシップを強めることも大きな課題とした。
もうひとつが改正農協法で5年間調査するとされた准組合員問題への対応。准組合員を農業や地域経営の発展を農業者とともに支えるパートナーとして位置づけ、JAファマーズマーケットを接点としたつながりの強化、JAまつりへの参加や運営など准組合員の「農」に基づくメンバーシップを強め「地域になくてはならないJA」をめざす。
JA全中は「大会で自己改革の号砲がなる。組合員のニーズや願いに応え特色ある多彩な自己改革の実践を」と強調している。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日