NAFTA再交渉に注目 JA全中が国際農政研修会2017年2月22日
正確な情報共有を
JA全中は2月21日、東京都千代田区のJA共済ビルで、JAグループ国際農政研修会を開いた。約230人が参加し、トランプ米大統領と日米関係、対米・対EUの通商交渉とJAグループの取り組み等について学び意見交換した。最新の国際情勢をJAグループ内に、より的確に情報発信することを目的にした研修会で今回は2回目。今後は3か月に1回ほどのペースで開く予定。



研修会では、JA全中・奥野長衛会長が「アメリカのTPP離脱と二国間のFTAにならないよう、正確な情報を伝えていきたい」と述べた。トランプ大統領誕生後の日米関係について、双日総合研究所の多田幸雄相談役が話した。同相談役は、米国の自動車産業について、大手のほとんどが10年かけて海外に拠点を移しており、これを米国内に戻すには5、6年かかることから「アメリカファーストは困難」と指摘した。
また日本の対米累積投資は1位で、インディアナ州では日系企業が290社を超え、40州で1位、9州で2位の位置にあり、「米国の各州には日本の応援団がいっぱいいる」と、「雇用を奪う」というトランプ大統領の日本企業批判は当たらないとした。さらに通商政策では、トランプ政権の内部が固まっていないことや、TPPについて、米国でも日米双方に利益があるという声もあり、いまのところ日米首脳会談でもFTA等への代替案の言及もなかったことから、「冷静な様子見と、官民連携による能動的な働きかけが望まれる」と話した。
通商交渉に対するJAグループの取り組みでは、JA全中の大西茂志常務が報告。同常務は日米二国間交渉の可能性があることを踏まえ、トランプ政権がNAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉を重要な施策としていることから「NAFTA再交渉における農業分野の扱いなどを見極めることが必要」と指摘した。
また、EUとのEPA(経済連携協定)では、これまでWTO農業交渉で「多様な農業の共存」を共に訴えてきた経緯があり、「日本農業に悪影響が生じることのないよう、わが国のコメ以外を含めた重要品目に対する適切な配慮が不可欠」と話した。その上で、対米交渉では(1)農業および協同組合の振興が阻害されることのないようにルール面での担保が必要であること、(2)TPPの発効に関わらず、国際競争に耐えうる農業生産力の強化に取り組むことを訴えていくというJAグループの考えを説明した。
(写真)第2回JAグループ国際農政研修会、多田相談役、大西常務
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