「なくてはならない全農」めざし次期中期計画-JA全農2021年11月17日
JA全農は11月16日の経営管理委員会で「次期中期計画策定の考え方」を了承した。2030年に向け中長期の視点に立った「全農グループのめざす姿」を描き、持続可能な農業と地域社会の実現に向けた戦略を策定する。
環境変化を見据える
次期中期計画は、生産と消費、JAグループを取り巻く環境変化をふまえて、2030年の姿を描き、そこからどのような取り組みを展開するか戦略を策定するというバックキャスティングという手法で策定する。
環境変化のうち、農業者人口はその減少が予想以上に進む。2020年の基幹的農業従事者数は136万人だが、2030年には57万人へと42%も減少する見込みだ。この間の日本の人口は5%減との見込みであり、農業者は大きく減少し、同時に農地の集約・大規模化が進む。
消費は約10兆円となった中食市場のさらなる増加や、共働き世帯の増加にともなう簡便・即食化などの大きな変化が続くと見込まれる。共働き世帯は1219万世帯で1980年の約2倍となっている。
こうした環境変化のなか全農は2030年のめざす姿として「持続可能な農業と食の提供のため"なくてはならない全農"であり続ける」を掲げる。
その実現のために長期・重点的に取り組む全体戦略を策定し、それに基づき来年度から3年間の分野別事業戦略を策定する、というのが今回の考え方だ。
JAと一体で生産振興
全体戦略は6つの柱を設定する。
1番目は生産振興。少数大規模化する生産者と、一方で家族経営で地域を支える小規模生産者への営農指導、組織体制などの課題がある。
これらの課題に対して、担い手の育成、多様な労働力支援、JA出資型農業法人への出資なども実施する。また、スマート農業や新たな栽培技術、集出荷の産地インフラの整備も行う。物流機能の強化も課題であり、国内外の最適な物流の構築による安定的な資材・飼料の供給を図る。
2番目は食農バリューチェーンの構築。生産、集荷から販売までの全農にしかできない一貫した体制づくりに取り組む。
ターゲットを明確にした商品開発、JAタウンの事業拡大とJAファーマーズの支援強化、他企業との連携による加工、販売機能などの最適化などを進める。
3番目の柱は海外事業展開。成長が期待される海外市場の開拓と、国内の農業生産基盤とのマッチングを進める。一方、世界的な穀物や資材原料の需要増への対応も課題で安定的な輸入に向けた競争力の強化も図る。
地域循環型社会をめざす
4番目の柱は地域共生・地域活性化。人口減少など地域の実情に応じた宅配、eコマースなど利便性の拡充や、地域のエネルギーを活用したEV(電気自動車)・シニアカーシェアリング事業の実践や、営農用への供給、遊休施設や耕作放棄地を活用した太陽光発電や農泊事業などの展開などを進める。また、「食と農の地産地消」に向けた耕畜連携の促進、ファマーズマーケットなどの事業強化も図る。
5番目の柱が環境問題など社会的課題への対応。農業分野や地域のくらしにおける温室効果ガスの削減や、みどり戦略を実現するためのイノベーションの実現と普及が課題となる。
そのために持続可能な農業に向け適正施肥の推進、有機農業を含む環境保全型農業の実践、環境負荷軽減に資する技術や資材、飼料の開発・普及、再生可能エネルギーに活用による電力供給の拡大などに取り組む。
6番目の柱はJAグループ・全農グループの最適な事業体制の構築。全農の機能再編とJAとの機能分担が課題となる。JAも今後は営農経済担当の職員が減少するという見込みのもとで、より全農とJAが連携した事業展開を図る。
県域の実態に合わせたJAとの最適な機能分担や、JAへの支援、営農指導・販売機能の強化に向けた人材育成などに取り組む。また、全農グループの機能強化に向けた子会社との新たな事業展開も図る。
こうした全体戦略のもと、事業戦略は「耕種」、「畜産」、「くらし」、「海外」、「管理」の5つの事業分野で検討を進める。
今後、検討を本格化させ、年明けからの総代巡回などを経て3月の臨時総代会で決める。JA全農はこれまでにない事業と取り込み事業拡大をめざす。
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