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流通と消費の視点から米の需給と将来像を議論 第2回「お米の流通に関する有識者懇話会」 JA全農2025年11月27日

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JA全農は11月26日、東京都内で「お米の流通に関する有識者懇話会」の第2回(全3回)を開催し、産直EC、生協、食品スーパーからの現場報告を踏まえて、米の安定供給と需要維持に向けた課題と提案を議論した。最終回となる第3回「研究者・情報発信者に聴く」は12月23日に開く。

第2回「お米の流通に関する有識者懇話会」の様子第2回「お米の流通に関する有識者懇話会」の様子

懇話会は、生産者と消費者の相互理解を深めることを目的にJA全農が実施している。今回は「流通関係者・消費者に聴く」をテーマに、産直EC「食べチョク」を運営するビビットガーデンの秋元里奈社長、コープデリ生活協同組合の熊崎伸理事長、食品スーパー「アキダイ」の秋葉弘道社長が、米流通や消費の現場で起きている実情を報告した。

冒頭、JA全農の桑田義文理事長は、「政権の枠組みが変わり、米政策は増産から需要に応じた生産へと回帰した。今後需給が緩和し価格が暴落すれば農家経営は立ち行かなくなる」と懸念を示し、「所得補完政策で生産意欲を維持する必要がある。新政権の積極財政に期待したい」と述べた。

ファシリテーターを務めた総合地球環境学研究所の佐藤洋一郎名誉教授は、平成・令和のコメ騒動を振り返り、「米は"あって当たり前"という意識が揺らいだが、議論は価格に偏りがちだ。日本人にとっての米の意味を捉え直し、次世代への継承を考える契機にしたい」と懇話会の趣旨を説明した。

米不足や農家の実情を報告

右から、秋葉弘道社長、熊崎伸理事長、秋元里奈社長、佐藤洋一郎名誉教授、桑田義文理事長、金森正幸常務右から、秋葉弘道社長、熊崎伸理事長、秋元里奈社長、佐藤洋一郎名誉教授、桑田義文理事長、金森正幸常務

秋元氏は産直EC「食べチョク」を紹介。会員120万人、生産者1万1000人、商品5万点の国内最大級のオンライン直売所で、家族経営の中小規模農家が中心。1カ月の最高額で、野菜は800万円、果物2500万円、米も1000万円を売り上げる生産者もおり、「価格決定権が生産者にあり、こだわりを発信できる点が特徴」と強調した。

一方で安定供給には限界があり、農家には「複数販路のポートフォリオ」を勧めている。5月の調査では生産者の9割がコスト上昇で経営難を訴え、3分の1が補助金込みでも赤字だったという。「米は中小規模農家が多く、規模拡大だけでは解決できない。販売単価をどう上げるかが重要」と語り、高温耐性品種を含む品種多様化や「お米グランプリ」など、新たな価値付けの取り組みを紹介した。物流コストやデジタルリテラシーなど、EC活用のボトルネックにも触れた。

熊崎氏は、生協が直面した米不足の影響を報告した。需給逼迫により数量制限や抽選販売を実施したが、定期購入「登録米」6万7000人のうち1万3000人以上に届けられず、不満の声が多数寄せられたという。政府の備蓄米放出で一時的に緩和したが、2025年産米の高騰で家計圧迫は続くと指摘した。

一方、「佐渡トキ応援米」「お米育ち豚」など産直を通じた価値創造の取り組みや、食育活動、「ワン・モア・ライス」運動を紹介。生活困窮者支援として年間200tの米を子ども食堂やフードバンクに提供し、「安定供給は社会のセーフティーネット」と述べた。JAグループとの連携強化や新たな需要創出の重要性も強調した。

秋葉氏は、二度のコメ騒動から見えた消費者行動の変化を紹介。備蓄米に行列ができ、新米志向の強さも改めて浮き彫りになり、「米は暮らしの基盤で、不安が買い急ぎを起こす」と説明した。また、生産者からの直接取引の依頼が増え、小規模農家が販路拡大に動いている実態にも触れた。

また、物価高で消費者負担が重くなる一方、生産者は資材高や気象リスクに苦しむ状況にあり、「安すぎれば農家は続けられず、高すぎれば消費者が離れる。国が継続的に生産環境を支える仕組みが必要」と強調した。

3人の発表後、佐藤氏との質疑応答が行われた。

秋元氏は、食べチョクでのストーリー発信は生産者の発信より「消費者レビュー」が効果的と説明し、生産現場を訪れる体験の重要性を語った。熊崎氏は、トキ応援米の拡大には行政・JAとの連携が不可欠と述べ、学校との食育連携の広がりを報告。秋葉氏は、生物多様性配慮の価値付けと商品性の両立の難しさを指摘した。佐藤氏は「生産者と消費者を結ぶ仕組みづくりが持続可能な米作りの鍵」とまとめた。

米の価値、和食文化の再評価を

第2部には、JA全農の吉野元明米穀部総合課課長、黒田泰博主食課課長が加わり、米不足と価格高騰がもたらした影響について議論を深めた。

「米の価値発信」では、佐藤氏が「糖質制限ダイエットが米を"健康に悪い食品"のように扱ってきた」と指摘。「医学的根拠の弱い情報が広がり、米の消費減少を加速させた。科学的エビデンスに基づく発信が必要」と述べた。

JA全農の金森正幸常務は、備蓄米入札を巡るSNS上の様々な情報が拡散した経験を挙げ、「正しい知識が届かないことで現場に心理的負担が生じる。事実に基づく情報発信が不可欠」と述べた。秋葉氏も「米は健康的なエネルギー源として長年日本人を支えてきた。ダイエット情報に押され価値が過小評価された」と語った。

「和食文化の再評価」も議論された。熊崎氏は、和食は主食と副菜の組み合わせで栄養バランスが取れる体系であり、「米を食べることは文化を受け継ぐ行為」と強調。食育では産地の話を聞き、実際に食べて味覚を育てる取り組みが広がっていると説明した。

桑田理事長は、和食がユネスコ無形文化遺産に登録された意義を踏まえ、「米の価値はカロリーにとどまらず"文化の核"」と指摘。秋元氏は「米への関心が高まっている今は、ポジティブな発信の好機。産直ECでも品種や生産者の物語を伝えることで価値を再発見してもらえる」と述べた。

最後に、佐藤氏は「米需要を回復させ、文化として継承していくには、生産と消費をつなぐ"正しい情報と理解"が不可欠だ」と総括した。

※熊崎伸理事長の「崎」の字は正式には異体字です

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