稲作の価値考え発信を 全農が米流通に関する有識者懇話会2025年10月29日
JA全農は10月28日、東京・大手町のJAビルで「お米の流通に関する有識者懇話会」を開いた。
右から米利休さん、佛田利弘さん、大津愛梨さん、佐藤洋一郎さん、桑田義文理事長、金森正幸常務理事
全農はさまざまな立場から米についての意見を聞き、生産者と消費者の相互理解につなげたいと懇話会を企画した。1回目となる今回は「生産者に聴く」をテーマに3人の生産者が米づくりへの思い、課題や全農への期待を語った。
熊本県の南阿蘇で稲作とあか牛を飼育している大津愛梨さんは、「ランドスケープ農業」を提唱している。農業の営みが景観の保全となるようなほ場整備や、耕畜連携などを実践していきたいと話した。若者の定着にも力を入れ21組が移住し農業に携わるようになっているという。家族経営が重要で農業を営むことで「生産者自身が幸せを感じられる社会を」と提起した。
石川県の(株)ぶった農産の佛田利弘代表取締役は現在、34haを作付けしているが販売先はすべて確定しており、2年前からはコストを段階的に価格に反映させた取引も行っている。「農業者にとって消費者や取引先からの信頼が大切」と話した。また、「見える農業」にするため労務管理などのマネジメントや新技術の導入など農業経営のバージョンアップが求められていると指摘した。
ただ、西日本では小規模な農家が稲作を支えている現状もあり、今後の政策として「農家を守らなければ生産量は低下する」と強調し、米価水準の議論だけではなく「稲作の価値」を議論すべきだと指摘した。
全農には共同、協同から「共創」となるような農業者との関係づくりを提起した。
東大工学部を卒業後、山形県の実家の米づくりを引き継いだ米利休(こめのりきゅう)さんは就農2年目。SNSを使った米販売で実績を挙げている。知人との共同経営となり経営面積は33haへと急拡大し、倉庫や精米機などが必要になっているが自前では準備できず、JAの施設利用などを期待する。全農には経営体ごとに要望に柔軟に応える事業展開で「多種多様な農家とともに成長する組織であってほしい」などと要望した。
ファシリテーターの総合地球環境学研究所名譽教授の佐藤洋一郎氏は、米の価格だけではなく「そもそも日本にとって米とは何だったか」を問う必要があるとして、農村の人口が減少するなかでも、水田の持つ多面的機能や地域社会の維持に果たしてきた稲作の役割などもふまえて「米を使った国づくり」の視点も重要になると提起した。
全農の桑田義文理事長は「それぞれの立場の違いを認識し、生産者と消費者の距離を縮めていきたい」と懇話会の狙いを話す。第2回は「流通関係者・消費者に聴く」、第3回は「研究者・情報発信者に聴く」を予定している。
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