JAの活動:今村奈良臣のいまJAに望むこと
【今村奈良臣のいまJAに望むこと】第80回 JA-IT研究会第50回記念公開研究会の紹介と講話ならびに討議2019年3月23日
記念講演 Ⅲ
「協同組合の『かたち』と『こころ』」
農林年金基金理事長 松岡公明
松岡理事長からは長大な講演要旨(小さな活字で実に32頁にも及ぶ報告のレジュメ)が寄せられ、これにもとづき、内容豊富かつJAならびに協同組合運動への激励と多くの示唆を頂いた。その要点を簡潔に紹介するのは容易ではないので、以下、寄せられたレジュメの核心部分を抜き書きするかたちで紹介させて頂くこととする。そのほうが記念講演の報告の趣旨と内容が判りやすいと考えた。
1.農協法改正と「自己改革」
<協同組合原則を無視した、ゆがめられた農協法改正>
(1)アベノミクス=成長戦略、規制改革会議、TPP、新自由主義的構造改
革、農政の責任転嫁→農協悪者論→メディア操作と世論誘導
(2)農協法改正→農業の成長産業化、協同組合の無理解・無視
=株式会社優位論、他業態とのイコールフッティング論、組合の分割・組織変更(株式会社、消費生活協同組合、医療法人)、総合農協の否定・解体=職能組合化、信用・共済事業の分離・事業譲渡・代理店化、理事定数の過半数は認定農業者、経営のプロ
(3)総合農協のメリット、有用性は「範囲の経済性」=複数の事業を同時に行うことで効率が上がること→各事業に共通するコストの節約、関連するノウハウ・情報の共有化により、効率的できめ細かい、高水準のサービス提供が可能⇔「規模の経済性」=規模が大きくなることでコストを下げて効率が上がること→各事業に共通するコストの節約、関連するノウハウ・情報の共有化により、効率的できめ細かい高水準のサービス提供が可能⇔「規模の経済性」=規模が大きくなることでコストを下げ効率が上がること
(4)協同組合のメンバーシップ性、「出資・参加・利用」の三位一体、利用結集すればするほど組合の事業力・経済力も高まり、その経営の安定性のなかで多様な事業・活動も展開できる(経済的な余裕がなければ、社会的な活動もできない)。
(5)規制改革会議における「信用・共済事業の分離・代理店化」「販売・購買事業の専門農協化」の議論は、協同組合原則、総合農協の歴史的経過、総合事業の有用性、現場実態を無視した、真逆の議論である。
(6)今般の農協改革は「郵政民営化の二の舞」の「前哨戦」→総合事業の解体・株式会社化
(7)空中戦から地上戦へ→政府主導型の「上からの改革」に対する自主・自立型の現場主義による「地上戦」→「農協があってよかったね」という地元・地域社会における実感と評価
(8)協同組合の思想と実践がユネスコの「無形文化遺産」として登録→協同組合の普遍的意義・価値について国際社会が評価→世界的な動きとは真逆の日本→執拗な農協バッシング、農協解体論→協同組合に対する政府・メディアの無知・無理解・無視
(9)自立・自治の協同組合の王道を歩む、極める→参加・民主主義・教育等のアイデンティティの確立→協同組合としての農協の「矜持」「意地」「底力」を内外に見せつける・知らしめるという覚悟
(10)協同組合の特性である
〈1〉<人的結合体>として利他の精神、相互扶助を大切にする
〈2〉<経営事業体>として「経済と民主主義の結合」を実践する
〈3〉<運動体>として地域づくり、福祉、環境保全などの公益性のある取り組みを展開する
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今村奈良臣・東京大学名誉教授の【今村奈良臣のいまJAに望むこと】
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