JAの活動:今さら聞けない営農情報
みどりの食料システム戦略23 まとめ【今さら聞けない営農情報】第119回2021年10月2日
令和3(2021)年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」(以下、「みどりの戦略」と略します)では、「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現」を目指し、2050年までに目指す姿と取り組み方向が示されました。
前回までに「有機農業」に関する技術的戦略をひも解き、どんな技術が導入あるいは普及されようとしているのか紹介してきました。
それらの技術は、実現できれば役に立つ技術ですが、開発途上のものも多くあり、それらはいつごろから活用できるようになるのかわかりません。一方では、すでに取り組まれているものや、すぐにでも採用できる技術もありました。
有機農業は、環境影響の少ない栽培技術でありますが、みどり戦略で示された革新的な技術の中には、導入のためのコストが従来以上にかかると想定されるものも多くあり、実際の農業経営の面では収支をどのようにして保つかという課題も残っているようです。
そのため、地域ごとに取り組める作物を選び、その地域にあった技術選択・栽培体系をつくり、地域が一体となってブランド化するなど、地域ごとの取り組みが不可欠になると思います。
一方で世界的な気候変動により食料生産が不安定になる中、食料自給率を上げていくことは喫緊の課題であろうと想定されます。自給率を向上させるには、生産振興と収量増大が必要であり、耕地面積の25%が有機栽培となった場合には、有機農業の収量だけでは自給率向上を実現することは難しいと考えられます。
このため、今後の日本国の食料を安定確保していくためには、どの程度有機農法で行えばよいのかを考えながら従来農法を併用していく必要があります。
従来の農法(化学肥料・化学農薬を使用したもの)にも環境への影響を最小限にした栽培体系も多くあり、従来の農法の全てが環境影響の大きいものとはいえません。また、新しい資材の開発も環境影響を十分に意識しながら行われてきています。
こう考えると、何故、有機農業の取り組み面積を拡大するのか、それが「環境影響の低減」と「持続的農業の実現」が目的であるならば、従来の農法でもそれらの実現程度をきちんと評価した上でないとフェアな政策とはいえないのではないでしょうか。
重要な記事
最新の記事
-
【肉とビールと箸休め ドイツ食農紀行】食文化の変化じわり2025年9月4日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】コメ騒動と米国との関係~根底にある「胃袋からの属国化」2025年9月4日
-
プロ職員育成へ「専門業務従事者」設置 JA北つくば【JA営農・経済フォーラム】(1)2025年9月4日
-
【統計】原料用ばれいしょ生産費 10a当たり0.9%増 100kg当たり1.2%減 農水省調査2025年9月4日
-
【統計】原料用かんしょ生産費 10a当たり1.1%増 100kg当たり3.5%増 農水省調査2025年9月4日
-
【統計】てんさい生産費 10a当たり1.9%減、1t当たり6.2%減 農水省調査2025年9月4日
-
【統計】そば生産費 10a当たり0.6%増 45kg当たり13.6%減 農水省調査2025年9月4日
-
【統計】さとうきび生産費 10a当たり4.4%減 1t当たり16.4%減 農水省調査2025年9月4日
-
この夏の私的なできごと -東京の夏・「涼しい夏」の初体験-【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第354回2025年9月4日
-
野外スポーツイベント「岐阜ロゲin大垣」に協力 マルシェで県産農畜産物販売 JA全農岐阜2025年9月4日
-
盛岡つなぎ温泉で「いわての牛肉フェア」 伝統の「さんさ踊り」公演も特別協賛 JA全農いわて2025年9月4日
-
セブン-イレブンに「飛騨トマトと生ハムのバジルパスタサラダ」 夏にぴったりの爽やかメニュー JA全農岐阜2025年9月4日
-
【スマート農業の風】(18)農水省の進める農業DXとeMAFF農地ナビ2025年9月4日
-
「医食同源」について考えるイベント LINK-Jと共催イベント あぐラボ2025年9月4日
-
見て・食べて・楽しむ酪農イベント JR那須塩原駅前で9月6日に開催 那須塩原畜産振興会2025年9月4日
-
井関農機とNEWGREENの「アイガモロボ」 Xtrepreneur AWARD 2025でグランプリ受賞2025年9月4日
-
北海道と沖縄県の食の交流「どさんこしまんちゅフェア」開催 セブン‐イレブン2025年9月4日
-
兼松「農業・食品GX」強化へ インセッティングコンソーシアムに参画2025年9月4日
-
火山灰シラスから土壌改良資材「オリジンジオ」農業支援プロジェクト実施中2025年9月4日
-
オランダと考える未来の園芸技術「環境制御型農業特別シンポジウム」開催2025年9月4日