JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機質資材を活用した施肥(34)【今さら聞けない営農情報】第215回2023年9月9日
みどりの食料システム法が施行され、国内の肥料資源(特に有機質資材)を活用した施肥の重要度が増しています。そこで本稿では、堆肥、汚泥肥料、食品残渣、有機質肥料、緑肥作物といった有機質資材を有効活用するために、順次有機質資材利用にあたって理解しておきたい基本的事項をご紹介しています。
前回、汚泥肥料の成分についてご紹介しましたが、今回若干補足します。
汚泥肥料は、前回にも紹介したように排水の種類や処理法、あるいは季節などによって肥料成分が変動しますが、汚泥という原料の性格上、使用された凝集剤と重金属の含有に注意しなければなりません。特に、原料が下水汚泥である場合、重金属の含有量が多い傾向にあります。そのため、製品中に含まれても良い量の上限が定められており、ヒ素であれば50mg/kg、カドミウムであれば5mg/kg、水銀2mg/kg(いずれも乾物中)を超過してはなりません。
また、重金属には銅や亜鉛など土壌蓄積するものもありますので、これらが過剰な蓄積をしないように注意する必要があります。そのため、製品中に銅が300mg/kg、亜鉛が900mg/kg以上含有する場合は、土壌蓄積について注意喚起をしなければならないようになっています。
こういった注意事項を含め、汚泥肥料等の製品には、その製品の内容物を示すための表示が容器や包装の外部に貼付する必要があります。その内容は、先の注意事項の他、主要な成分の含有量等(窒素全量、リン酸全量、カリ全量、C/N比(炭素窒素比)、登録番号、製造者名などです。
汚泥肥料は、窒素分が比較的早く分解して無機化するため、窒素の肥効は速効性なものが多いです。ただし、汚泥を加熱乾燥している場合は、加熱によって窒素分が変性し、窒素の無機化が遅くなる場合がありますので、製品の注意事項を確認して下さい。
施用量については、窒素含量をベースに決めるようにしますが、使用する汚泥肥料が石灰処理汚泥である場合は、必要以上に土壌pHが高く(アルカリに)ならないようにアルカリ含有量を勘案します。また、リンの含有量が多い場合は、リンの蓄積にも注意が必要です。
いずれにしても、土壌の状態を把握した上でないと適正な施用量を決められないので、定期的に土壌診断を行うよう心がけて下さい。
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