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JAの活動:農協時論

【農協時論】米騒動今昔―天災と人災の差 現場視点農政を 髙武孝充・元JA福岡中央会 博士(農学)2025年10月6日

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「農協時論」は新たな社会と日本農業を切り拓いていくため「いま何を考えなければならいのか」を、生産現場で働く方々や農協のトップの皆様などに胸の内に滾る熱い想いを書いてもらっている。今回は元JA福岡中央会農政部長で農学博士の髙武孝充氏に寄稿してもらった。

元JA福岡中央会 博士(農学)・髙武孝充氏

元JA福岡中央会 博士(農学)・髙武孝充氏

平成米騒動でわが国が大騒ぎになったのは平成5(1993)年であった。

平成5年に農林水産省が発表した作況指数は8月が95の「やや不良」の1953年以来の低水準、9月末が作況指数80の「著しい不良」に悪化し空前の凶作、食糧庁(当時)も供給量の確保に全力を注ぎ、新潟県産コシヒカリが60kg2万8000円前後となるなど上昇し続けた。

農水省は9月30日に米の緊急輸入を決定する。わが国の最終的な作況指数は「著しい不良」の水準を大きく下回る74となった。東北地方ではさらに下回り、東北全体の作況指数は56、やませの影響が大きかった青森県は28、岩手県が30という飛びぬけて低い数字となり、下北半島では「収穫が皆無」を示す作況指数ゼロの地域も続出した。緊急輸入した米は259万t、ジャポニカ米輸入量は未公表だ。

平成5年11月18日午前9時過ぎ、タイ産加工用米7000tを載せた「タンジュン・ビナン号」が横浜港に到着した。緊急輸入米の第一陣であった。このインディカ米は消費者に不評で売れないので、農水省は抱き合わせ販売した。推測するに相当量のインディカ米を輸入したと考えられる。ちなみに道府県の作況指数が戦後最低を記録したのは北海道、青森、岩手、宮城、山形、福島であり、まさに天災であった。

令和の米不足は天災ではなく人災と言われている。その理由は、第一に令和5年頃から夏の熱波のため収穫後の玄米にするふるい下米が多くなってきた。

第二に全国8000カ所で坪刈りを実施して作況指数を発表するのだが使用するふるい目(網目)は1・7mmであり、米生産者・農協が流通に出すふるい目は1・85~1・9mmである。供給量が需要量を下回る状況が2年前頃から起こっている。「水田農業の活性化をめざす~西南暖地からの提言」(髙武孝充・村田武共著、筑波書房、2021年11月)で「ふるい目の矛盾」を指摘している。平成7(1995)年に制定された食糧法は単年度の需給均衡を前提にしているので、筆者は「米の需給見通し」がまともであったことを見たことがない。

第三に平成10(1998)年から米経営所得安定対策が実施されたが、補てんの基礎となる基準価格が3カ年移動平均法であり、毎年米価格が下がると基準価格は下がる仕組みである。20年近く基準価格は下がりっぱなしであり、当然、補てん金も下がってくる。基準価格算出で3カ年平均することを均(ナラ)すと読むが「ナラシ対策」はセーフティーネットとは呼べない。基準価格は全算入生産費であるべきだった。

第四に農水省は毎年10万t需要量が下がるという概念があったとしか思えない。ふるい目が何mmか道府県すべてを把握していたのに何も手を打たなかった理由がわからない。農政局県域からも明確な答えを聞いたことがない。

第五にこのことを20年以上繰り返してきたツケが米生産者の高齢化と減少につながった。第六に政府備蓄180万~200万tとの声が多いが、まずは計画的に実施しないと適正な政府備蓄になるまで何年かかるか不明だ。政府在庫10万tは在庫と言わず、現場では「余り米」と言っている。それだけ深刻ということだ。

第六に平成30(2018)年に米生産調整を廃止したが、実際は実施してきたのは誰もが知っている事実だ。中期的な計画が必要だが現場との乖離を感じる。最後に改正食料農業農村基本法に目を通したが、規模が大きい担い手にも小規模な担い手にも最も必要な第39条が殆ど改正されていないのは残念だ。生産者にも消費者にも喜んでもらえる対策があるはずだ。例えば、消費者には適正価格、生産者には再生産価格、その差額を国が補てんするなどその点に踏み込んでほしい。

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