JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るための農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しています。農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されますので、高い効果を発揮させるには、有効成分をいかに効率よく作物に付着させるかが鍵となります。しかし、農薬をより効率よく正しく使用するためには、製剤の選択の他に散布対象となる作物やその生育ステージ、あるいは病害虫雑草の生態に合わせた使い方も重要になります。前回から除草剤の上手な使い方についてご紹介しており、現在除草剤の選択性についてご紹介しています。
除草剤は、雑草は枯らすけれども、作物には害を及ぼさないという選択性を持っており、その選択性には、生態的選択性と生理的選択性および生化学的選択性の3つがあります。この選択性のメカニズムを知ることで、除草剤を安定して効かせながら作物には薬害を起こさせないためのコツをつかみやすくなります。前回と前々回で生態的選択性と生理的選択性をご紹介しましたので、今回は生化学的選択性をご紹介します。
生化学的選択性とは、除草剤有効成分の植物体内での消長の違いを利用したものです。
植物体内に取り込まれた様々な物質は、植物体内で色々な細胞内物質と接触・反応して生命活動に必要な物質に変化していきます。除草剤も物質ですので、植物体内に吸収された後に植物体内物質と反応します。この植物体内での反応において、ある植物種の体内では植物体内に取り込まれた除草剤の有効成分が反応して無毒化するけれども、別の植物種では除草剤成分が有毒なものに変化するといったことがあります。前者のことを不活性化といい、後者のことを活性化といいます。後者の活性化には、植物にとって無毒である物質が、植物体内に取り込まれて反応が進む中で毒性のあるものに変化するものも含まれています。
このように、除草剤の有効成分が、作物体内では毒性が無い(作物は枯れない)けれども、雑草の体内では毒性がある(雑草は枯れる)ものに変化するといった性質を利用するのが生化学的選択性といいます。また、この物質の毒性は、その施用された量によって毒になる場合もあれば毒にならない場合もありますので、作物には影響はないけど雑草には影響あるという量を見つけて処理することで除草剤としての選択性を発揮することができます。この選択性で注意しなければならないのは、何等かの要因が重なって除草剤の使用量が作物には影響の出ない限界量を超えて施用された場合には、作物にとっても毒として働いて薬害発生の原因となってしまうことです。除草剤の使用量を守らなければならないのはこのためです。
(つづく)
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