JAの活動:【緊急特集・JA対話運動】
【緊急特集・JA対話運動】第4回<JAグリーン近江(滋賀県)>全組合員訪問日に『対話運動』を実践」2019年4月1日
滋賀県のJAグリーン近江では、自己改革の取り組みにあたって約200名の正・准組合員で改革の方向を議論したうえで改革をスタートさせた。今回はこうした実践をふまえ、全組合員調査と対話運動にどう取り組んでいるか、同JAの大林茂松常務理事に聞いた。
--これまでのJA自己改革のなかで、とくに「組合員との徹底した話し合い」の取り組みについてお聞かせください。
JA自己改革について私たちは組合員の意見を聞いてそれに応えることが自己改革だと考え、まず平成26年末から翌年2月にかけて、正組合員、准組合員、総代、女性部、青年部、法人代表などのメンバーで構成している支店ふれあい委員会を中心に議論をしてもらいました。
その結果、JAグリーン近江のあるべき姿として(1)営農・経済面を強化すること、(2)暮らしに役立つ情報を提供すること、(3)JAグリーン近江独自の自発的な取り組みを行うこと、(4)組合員との関係を強化すること、(5)地域とのつながりを大事にするJAであること、の5項目が挙がりました。 営農・経済事業の強化など(1)~(3)の項目はJAとして当然、取り組むべきですし、この5年間でさまざまな成果を挙げてきたと考えています。
しかし、(4)と(5)の組合員や地域との関わりについては、そもそも私たちは強固なものがあるはずだと思っていたことです。しかも経済事業などと違って、どう具体的な成果を示すかが難しい問題です。実はここが自己改革のスタートだったと思っています。
そのためには今まで以上に組合員とのコミュニケーションを強めていかなければならないと、いわゆるTACなど「出向く」体制を強化するとともに、協同組合自体を理解してもらうために、協同組合塾や女性大学を開設したり、女性部や集落座談会のあり方も見直してきました。
女性部はフレッシュミズ組織づくりやカルチャー教室開催などに取り組みましたが、一律ではなく、それぞれ地域や人に応じた参画の仕方を提案して女性部員は4倍に増えました。部員はすべて正・准組合員になっています。
集落ごとに開いている農談会も、これまではおもに稲作中心の農業技術や米の情勢などを伝える場になっていましたが、集落ごとに悩みや課題も違うことからアンケートを実施して、それに基づいて話し合う場に変えました。やってみると集落の人々から意見が出るようになり、簡単に成果は出ませんが、話し合うことによって解決の道も見えてくると思います。
常勤役員による600人の担い手への個別訪問にも取り組みました。ときには田んぼで話し合うこともありましたが、今まで1対1で話し合うことはなく批判もあるかと思いましたが、JAへの要望など前向きなものになったと思っています。 それから管内には集落営農法人だけで130あり、連絡協議会をつくっていますが、JAもその協議会の構成員として出資すると同時に、各法人もJAの正組合員になってもらっています。JAとして協議会のメンバーになったことでいろいろな話し合いの場にも参加しますから、よりコミュニケーションが図れるようになりました。この連絡協議会への参加は私も学んだことの1つで、このように組織をJAがまとめていくことや、農談会のあり方を見直して地域から意見が出るように工夫したことなども、「対話」の柱になると思っています。
--その「対話運動」と全組合員調査にはどう取り組んでいますか。
実はもうかなり以前から毎月24日から26日を全組合員宅訪問の日と決めて広報誌などを配布しています。1職員あたり40戸から50戸です。ただ、訪問しても100%組合員に会うことは難しいし、かといって広報誌やさまざまなお知らせなどはタイムリーに届けなければなりませんから配布だけするということもあります。
ただし、3年前から年2回、2月と8月はきちんと組合員と会って対話するということを決めました。JA内にプロジェクトチームをつくって推進し、職員に対して2月と8月は地道に組合員宅を訪問することへの理解を広げてきました。
今回の全組合員調査はこの仕組みを利用したものです。昨年8月に全組合員調査と対話運動についての全職員勉強会を開くとともに、8月の訪問活動ではJA自己改革の取り組みと成果をまとめたパンフレットを作成し配布しました。表紙には「大切な組合員のあなたに、もっとJAを知ってもらいたいので作りました」と大きく記しました。 そして11月には今回の全組合員調査アンケート内容と、配布・回収、進捗管理などについて研修を行って活動を始めました。
組合員は正・准合わせて2万3800人。3月中に75%が回収できる見込みで、残りの部分についても、早々に終了したいと考えています。
いくつかの回答をみると、准組合員について正組合員の誤解もわずかとはいえあると感じています。そういう声がある以上、私たちはもっと説明していかなければなりません。
対話を通じて組合員のみなさんの意見を聞くことで職員も変わってきたと思います。何より他の会社と違い、自分たちの農協の職員だということから組合員宅にあがらせてもらえることもあって、それを体験することも職員には大きいと思っています。
同時にJAはいかに参画してもらう場をつくるかが大事だと思います。准組合員でもJAのさまざまな活動に参加してもらっている人ほど利用率も高い。昨年、准組合員総代制度導入に向けて総代を選出しましたが、女性が58%を占めました。女性の参画意識が非常に強いことが分かります。JAの活動に参加して集まってもらうことも「対話」の機会となり運動の一環として大事だと考えています。
(関連記事)
・【緊急特集・JA対話運動】まとめ
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日
-
深作農園「日本でいちばん大切にしたい会社」で「審査委員会特別賞」受賞2025年9月18日
-
果実のフードロス削減と農家支援「キリン 氷結mottainai キウイのたまご」セブン‐イレブン限定で新発売2025年9月18日
-
グローバル・インフラ・マネジメントからシリーズB資金調達 AGRIST2025年9月18日
-
利用者が講師に オンラインで「手前みそお披露目会」開催 パルシステム東京2025年9月18日