JAの活動:JA緊急アンケート
安全・安心な食料生産へ【コロナ対策に学ぶ(2)】2020年8月26日
新型コロナウイルス感染症に関する緊急アンケートでは、「コロナ禍による農産物需要変化への対応は何か」を聞いた。結果は、「国内消費拡大のため安全・安心な農産物を生産する」81.8%、「直接販売、直売所販売、ネット販売等を強化」46.5%、「安定した輸出先、販売先を確保する」18.7%であった。その他としては、系統組織との連携、既存販売先と結びつき強化、生産・販売体制の構築等であった。
「我が国の食料自給率向上において、農協が果たすことが重要である」と考える農協が多いことは高く評価されるべきである。とともに今後の未来の農協のあり方を示していると言える。
輸入製品依存の脱却を
「コロナ禍から得た教訓」「コロナ禍で考えさせられた農協の役割」では、(1)輸入製品依存の生活スタイルを再認識・改めて自給率向上が必要、(2)食料および労働力等を海外依存している国内産業の脆弱さ、(3)今回のコロナが食料自給率の向上を具体的に進めていく必要を教えた、(4)地産地消のさらなる推進、(5)生産者と消費者が一体となる事業を進めるなどがあげられた。
こんな中、2020年3月31日、閣議決定された「新たな食料・農業・農村基本計画」では、消費者と食・農との繋がりを深める「国産農産物が選択される食育・地産地消等の官民協働による『農は国の基(もとい)』との認識共有の国民運動展開」を打ち出したばかりである。
しかし、わが国の食料自給率は2020年8月の公表で37.8%と、前年よりも0.4ポイント微増したものの、国が掲げる45%目標との隔たりは大きく、この20年以上の間、先進国最低レベルを脱する兆しは少しも見えない。生産現場である地域農業・農村では、農業者の高齢化、担い手減少・不足、農地減少、遊休農地増大等、国内生産基盤の脆弱w化に歯止めがかからないのが実態である。
農協も自給率向上を
農協は、組合員である地域農業者と地域消費者の営農と暮らしを守ること、あるいは食料・農業・農村の発展を協同組合事業によって実現することが求められている。コロナ過では、わが国の農協に「新たな食料・農業・農村基本計画の下で、農協が食料自給率向上に取り組むこと」を求めている。それは、多くの国民に支持され、多くの国民に応援される農協事業として、国民的・国際的な農協の存在価値となる。
そのため農協には、(1)具体的な食料自給率向上に向けた実践計画の樹立、(2)実践に必要な充分な予算の確保、(3)確実に実現するための要員の確保と体制の確保、(4)全国連・単位農協の責任者の役割と実践責任の明確化、(5)実践を監視・評価する機関の設置、(6)実践におけるPDCA管理の徹底による確実な実現などが求められる。
そして、消費者の「地産地消」への理解を得て、安全・安心な農産物の生産と提供と拡大を、今まで以上に進めていかなければならない。食料自給率向上に向けての消費者の農協組合員化と、農協による生産者と消費者を結びつける事業を展開することで、「地域の農産物の安定供給体制が構築される」とともに、「農協による食料自給率向上が実現される」のである。また、国も、食料自給率向上に対する本気と覚悟と実績を見せて欲しい。
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