JAの活動:JA緊急アンケート
まず組合員・地域住民の命【コロナ対策に学ぶ(1)】2020年8月24日
(一社)農協協会が7月中旬に実施した「新型コロナウイルス感染症に関する緊急アンケート」の回答193農協分(全国584総合農協の33%)について、「今後の農協の取り組みにどう生かすか」の視点で、アンケートの分析をお願いしたJA十和田おいらせ(青森県)の理事・小林光浩氏に、改めて詳しく分析・提案してもらった。(9回連載)

まず組合員・地域住民の命
新型コロナウイルス感染症に関する緊急アンケートでは、総会・集落座談会・生産部会での対応について調査した。結果は「書面決議に変更した」77.9%、「延期あるいは中止」52.6%と、多くの農協が会合等への出席による感染拡大の防止に努めた。
また組合員活動での対応(青年・女性組織、各種セミナー、研修等)では、「延期あるいは中止」が96.9%と、ほとんどの農協が組合員活動の自粛に務めたことになる。さらに、信用・共済の推進では、「訪問回数を減らした」52.4%、「電話等で対応している」48.2%、「ほとんどできなくなった」23.6%と、多くの農協で訪問推進を自粛した。
このことは農協の組織・事業活動よりも基本姿勢である「組合員を守る」「地域に貢献する」ために集団感染防止を優先した結果であると思われる。人を中心とした協同組合のあり方として、高く評価されるべきことである。
新型コロナウイルス感染症による死者は、2020年8月5日、世界全体で70万人を超え、わずか7か月余りでエイズの年間死者数69万人を上回ったと言うニュースは衝撃的であった。ちなみに、2018年の三大感染症の死者は、1位が結核150万人、2位がエイズ69万人、3位がマラリア40万人。今も1~3日で1万人増える状態が続いており、被害拡大の勢いは衰えていない。
ワクチンがない現在での新型コロナウイルス感染症は、驚異的な感染力と、死亡者の多さが、人の命に係わる感染症である、と言う認識を持つ必要があることを教える。従って、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の予防として、「一人ひとりの咳エチケットや手洗いなどの実施がとても重要」「風邪症状があれば、外出を控えていただき、やむを得ず外出される場合にはマスクを着用」「集団感染の共通点である(1)換気が悪く、(2)人が密に集まって過ごすような空間、(3)不特定多数の人が接触するおそれが高い場所を避ける」等の指導を徹底している。
協同組合としての基本姿勢である「組合員を守る」「地域に貢献する」ために集団感染防止を優先する事は重要である。しかし、感染が長期化する中では、「組合員の暮らしを守る」協同組合活動、協同組合事業を実践しなければならない。
そして、それら協同組合活動での最も重要なことは、組合員とのコミュニケーションを確立する事である。発症当初は、緊急事態時の接触を避ける取り組みを最優先した事は評価された。しかし、「部会や集落座談会が中止になり、また職員の訪問がなく、農協の情報が入らない」39.8%のアンケート結果があった事も事実である。
これからは、「集団感染を防止しながら農協と組合員、組合員間のコミュニケーション強化」をするための新たな仕組みを確立する事が重要である。このことは、あらゆる場所・機会での広報紙・連絡板などの紙面を使った連絡方法や電話・FAXを活用した連絡方法、メールやSNS等のITを活用した連絡方法など、新たなコミュニケーション強化の仕組みづくりと、その活用化・定着化が求められる。
その際に留意しなければならないのは、農協側からの一方通行とならないことで、双方向の連絡ができる仕組みをつくり上げることである。
(関連記事)
JA緊急アンケート
重要な記事
最新の記事
-
米粉で地域振興 「ご当地米粉めん倶楽部」来年2月設立2025年12月15日 -
25年産米の収穫量746万8000t 前年より67万6000t増 農水省2025年12月15日 -
【年末年始の生乳廃棄回避】20日から農水省緊急支援 Jミルク業界挙げ臨戦態勢2025年12月15日 -
高温時代の米つくり 『現代農業』が32年ぶりに巻頭イネつくり特集 基本から再生二期作、多年草化まで2025年12月15日 -
「食品関連企業の海外展開に関するセミナー」開催 近畿地方発の取組を紹介 農水省2025年12月15日 -
食品関連企業の海外展開に関するセミナー 1月に名古屋市で開催 農水省2025年12月15日 -
【サステナ防除のすすめ】スマート農業の活用法(中)ドローン"功罪"見極め2025年12月15日 -
「虹コン」がクリスマスライブ配信 電話出演や年賀状など特典盛りだくさん JAタウン2025年12月15日 -
「ぬまづ茶 年末年始セール」JAふじ伊豆」で開催中 JAタウン2025年12月15日 -
「JA全農チビリンピック2025」横浜市で開催 アンガールズも登場2025年12月15日 -
【地域を診る】地域の農業・農村は誰が担っているのか 25年農林業センサスの読み方 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年12月15日 -
山梨県の民俗芸能「一之瀬高橋の春駒」東京で1回限りの特別公演 農協観光2025年12月15日 -
迫り来るインド起点の世界食糧危機【森島 賢・正義派の農政論】2025年12月15日 -
「NARO生育・収量予測ツール」イチゴ対応品種を10品種に拡大 農研機構2025年12月15日 -
プロ農家向け一輪管理機「KSX3シリーズ」を新発売 操作性と安全性を向上した新モデル3機種を展開 井関農機2025年12月15日 -
飛翔昆虫、歩行昆虫の異物混入リスクを包括管理 新ブランド「AiPics」始動 日本農薬2025年12月15日 -
中型コンバインに直進アシスト仕様の新型機 井関農機2025年12月15日 -
大型コンバイン「HJシリーズ」の新型機 軽労化と使いやすさ、生産性を向上 井関農機2025年12月15日 -
女性活躍推進企業として「えるぼし認定 2段階目/2つ星」を取得 マルトモ2025年12月15日 -
農家がAIを「右腕」にするワークショップ 愛知県西尾市で開催 SHIFT AI2025年12月15日


































