JAの活動:第6回JA営農・経済フォーラム
事例報告のポイント 主役は組合員 情報共有を大切に 西井賢悟 JCA主任研究員【第6回JA営農・経済フォーラム】2020年11月16日
西井賢悟JCA主任研究員
事例報告のポイントは(1)組合員の参画に基づく計画づくり、(2)マーケットインの実践-試行段階から安定段階へ、(3)営農指導の体制・機能の再構築、(4)労働力不足への対応-地域農業を守る―、(5)農産物販売高の拡大から収支改善へ、の5点に集約できる。
(1)について、JAあいち中央は、部会員の参画のもと生産部会別にビジョンを策定し目標数字と課題を提示したことで、目標達成への当事者意識を高めている。JA香川県は、担い手との意見交換会について、人数を絞ったうえで、部会長、新規就農者など、同じ属性別に集めることで、意見を出やすくしている。
(2)について、「生産ありき」から脱却し、市場のさらに後ろにいる実需者との関係をつくることが求められている。いずれも専任部署を作って対応しており、JAさがについては、専門の子会社による対応を進めている。実需との関係強化による価格の安定は大規模担い手にとって魅力的で、集荷力の向上にもつながる。
(3)について、地域の農業構造が大きく変化するなか、「担い手」と「多様な農業者」、「集団指導」と「個別指導」、人員と機能の「分散配置」と「集中配置」に対して、両立した対応が求められている。JAはが野では本店の「アクシュ」、広域営農指導員、営農センターの営農相談員が役割分担することで、うまく両立を図っている。全国のJAにおいても、自らの地域にあった営農指導の再構築を進めることが必要。
(4)について、JAは多様な選択肢を持ち得ることが示されたと感じた。労働力支援事業での収支黒字化は難しいが、JAゆうき青森の子会社は、黒字化を達成している。同社は自社の農業経営部門を伸ばすとともに、利用者である組合員と経営状況を共有し、利用料を引き上ることができたことが要因ではないか。
(5)については、JAならけんの事業総利益の増加に向けた攻めの改革と事業管理費の削減に向けた守りの改革を合わせて収支改善をめざす例が報告された。このように、まずは収支改善の全体像の整理が重要。その上で、自己改革を継続し、農業構造の変化に対応した体制の再構築、手付かずの施設の計画的な再編と広域利用や組合員の参画に基づく事業運営の見直し、アウトソーシングだけでなくパッケージセンターの開設など外部に任せていた取り組みをJAがインソーシングすることなどによって収支改善につながることが示された。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(174)食料・農業・農村基本計画(16)食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標2025年12月27日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(91)ビスグアニジン【防除学習帖】第330回2025年12月27日 -
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日 -
世界が認めたイタリア料理【イタリア通信】2025年12月27日 -
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日 -
【幹部人事および関係会社人事】井関農機(1月1日付)2025年12月26日


































