JAの活動:2021持続可能な社会を目指して 今こそ我らJAの出番
白鳥の里から 時田 則雄【特集:今こそ我らJAの出番】2021年1月4日
JAcom農業協同組合新聞は、2021年新年特集として「2021 持続可能な社会をめざして 今こそ我らJAの出番」をテーマに企画。本日よりこのテーマに従い現場の挑戦や提言を全国のJAをはじめ関係者に発信していきます。
父から経営を任されたのは1970年。24歳のときである。当時の十勝の農業は強烈な離農の嵐にさらされていた。学生のころから私は経営規模の拡大を目指していたので、就農して間もなく近隣の農家が畑を売りに出した際、迷わず借金をしてその土地を買った。父から経営を任されたときは私の手元に現金はなかった。畑の借金を背負っての出発だった。
営農計画書は高校生のころから作成していた。経営を任されてからは農協青年部の仲間と互いに経営内容を見せ合いながら作成した。農協の幹部職員にも相談した。きめこまやかなアドバイスが大いに勉強になった。娘婿に経営を移譲した7年前までの私の百姓人生は、農協と共にあったといっても過言ではない。
私はいま74歳。現役の百姓である。トラクターを操作することは激減したもののナガイモの収穫のときだけは頻繁にトラクターを操作する。ナガイモの栽培面積は2.5ヘクタール。収穫は10月下旬から11月中旬にかけて行う。作業人員は家族3人のほかに出面(でめん、パート)7人。収穫の方法はバックホーで畝と畝の間を1メートルくらい掘ってできた溝に人が入り、手で土を崩しながらナガイモをそおっと引き抜く。
私の役目は抜いたナガイモを300キロ入るコンテナに詰めることだ。1人では間に合わないので3人くらいで行う。コンテナはトラクターの後部に装着したレーキに2基乗せてあり、それが一杯になったら私が農機具の格納庫まで運ぶ。1日に抜く量はコンテナ25基ほどで、夕方、私がそれをトラックに積んで農協に出荷する。
このナガイモの品種は「とかち太郎」という。従来の品種よりもひと回り以上大きいため、収量は20%ほど多い。出荷したナガイモは私が所属する帯広川西農協をはじめ、十勝管内の9農協が広域グループを形成して一元集荷し、産地間の競合を避けるため、総集荷量の約15%を目標に、アメリカや台湾、シンガポールなどへ輸出している。商標名は「十勝川西長いも」。また規格外はトロロの原料として出荷しているので、生産者は安心して農協に出荷することができる。
ナガイモを収穫するころには白鳥が飛来し、V字編隊を見せてくれたり、小麦畑に舞い降りて寛ぐ姿を見せてくれたりする。その白鳥たちはシベリアから飛来し、川や沼、湖に氷が張るころまで十勝にとどまり、その後、本州で過ごし、ナガイモの春掘りのころ再び十勝に立ち寄り、シベリアに帰る。
白鳥の生涯のほとんどは旅の連続だ。それは命がけの旅であり、なかには旅の途中で果てるものもいるだろう。私はそのような白鳥を見るたびに、「人生も旅だ。俺も頑張らなくては......」と思う。「足腰の動く限りは、百姓として十勝の大地に生きるのだ」との思いを強くするのだ。
短歌3首
凍天を突きて立つ椴(とど) さうなのだ 俺はここからどこにも行かぬ
V字編隊組みゐし白鳥ひかりつつ麦のみどりに急降下せり
長芋を抜き取りし妻が微笑みてゐるなり夕陽に影曳きながら

持続可能な社会を目指して 2021年いまこそ我らJAの出番
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