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「総合力で地域貢献」JAいちかわ・今野博之理事長に聞く(1)【築こう人に優しい協同社会】2022年3月15日

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千葉県のJAいちかわ管内は江戸川を挟んで東京都江戸川区に接し、急速に都市化が進んだところである。合併前の旧JA管内では、すでに農業がなくなったところもある一方で、歴史のある梨の産地があり、ニンジンやカブなど都市近郊の野菜産地としても知られる。JAいちかわは都市化と伝統ある産地という大きく異なる環境を生かした地域密着の事業・活動を展開し、大都市近郊におけるJAの一つのあり方を示している。今後の事業展開方策について、今野博之代表理事理事長に聞いた。

今野博之 代表理事理事長

――JAいちかわは都心に近いことからさまざまな情報がいち早く入り、農業をアピールする農産物もあります。この条件をうまく生かしているという印象ですが。

昨年、管内の田中地区で収穫した米を精米する「田中経済センター精米所」がユダヤ教の食事規則である「コーシャ」の認証を得ました。コーシャとはユダヤ教の宗教指導者が原材料、製造施設や工程などを現地で直に確認して清浄な食品を製造する施設として認証するものです。実際、イスラエル人の宗教指導者などの関係者が、施設の査察のため精米所まできました。

この取り組みの背景には、ドバイ首長国向けの「市川のなし」の輸出があります。市川市特産の梨は230年の伝統があり、日本で一番おいしい梨だと自負していますが、知名度は必ずしも高くありませんでした。これを何とかしたいとの思いで、「市川のなし」の商標登録を得て2013年から富裕層が多い国として知られるアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国への輸出を始めました。これらの輸出活動により、中東の様々な情報が得られるようになりました。

梨狩りを楽しむUAEの駐日大使(左)梨狩りを楽しむUAEの駐日大使(右)

これまで対立してきたアラブとイスラエルですが、2020年の「アブラハム合意」によって、イスラエルからドバイ首長国への旅行者が増え、そこで和食のおいしさを知ったイスラエル人が増え、コーシャ認証されたお米を求めているという情報がもたらされました。そこで、千葉県が13年かけて育成した、大粒ですし米に適した新品種の「粒すけ」を2t、コーシャ認証団体の「コーシャ認証米」として輸出しています。さらにコーシャ認証の「粒すけ」を使った日本酒を輸出する計画も進めているところです。

――理事長は、JAには変革が必要だといわれますが、変革とはどのようなことでしょうか。

JAいちかわJAいちかわ

JAいちかわは正組合員が約4700人で、准組合員はその3倍強の約1万5000人います。これから農地も農業従事者も減ることを考えると、組合員を増やして経営基盤を強化する必要があります。このため農協では、3年間で准組合員を5000人増やすつもりです。

一人10口として1万円の出資金で5000万円。JAの経営安定のための自己資本比率アップにはそれほど貢献するわけではありませんが、JAの将来を考えるとパートナーシップを確立することでさまざまな試みができ〝質の高い自己資本〟につなげなければならないと考えています。

管内の浦安市や隣接する市川市の行徳地区では、農地がほとんど宅地になり、農業はなくなりましたが、組合員の農協離れはまったく見られません。それだけ農協の事業に理解をいただいているのだと考えています。都市化の進んだところではメガバンクの攻勢で、組合員が一時、そちらに流れたこともありますが、その流れを変えたのは、信用や共済の渉外を中心とする地道な地域活動です。

宅地並みの高い固定資産税に耐えかねて、多くの農家が賃貸住宅やガソリンスタンド経営への転換を余儀なくされました。JAはその相談や資金融資に積極的に応じてきました。2020年で住宅ローン残高は約700億円、毎年120億円以上の新規住宅ローンを確保しています。

都市近郊のJAは、それぞれ地域の特性に応じた資金需要に応えることが重要です。これまで、必ずしも十分ではなかったと思います。JAいちかわでは准組合員を対象にした広報誌を年3回発行し、全職員が個別訪問で配っています。こうした活動が功を奏し、年間の住宅ローン実行約400件を達し、貯貸率は62.6%(2020年度)と、全国のJAでもトップレベルになっています。また出資配当は2.0%以上を維持しています。

(2)に続く

「総合力で地域貢献」JAいちかわ・今野博之理事長に聞く(2)

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