JAの活動:JA全農の若い力
【JA全農の若い力】飼料畜産中央研究所(3)適正な栄養面を追究 山下大河さん2025年3月19日
JA全農・飼料畜産中央研究所は上士幌種豚育種研究室と茨城県つくば市の研究室で活動する。養豚の研究員3人に焦点を当てた。
JA全農・飼料畜産中央研究所 養豚研究室 山下大河さん
JA全農飼料畜産中央研究所の養豚研究室(茨城県つくば市)では、養豚用配合飼料や豚肉の品質に関する研究開発、生産性向上技術の開発と普及などを行っている。
山下大河さん(2021年入会)は、学生時代には農学系の学部に進学し、乳酸菌や食物繊維の有用性について細胞や動物を用いて研究をしてきた。これまでの経験を生かし、生物、食・農業に関わる仕事に従事したいという思いがあり、畜産動物の飼料開発を通じて食料生産を支える全農への入会を志した。
入会1年目は豚の飼養管理や試験方法について学ぶため、研究所内の農場に入り、先輩の試験業務の補助を中心に行った。
2年目以降は自分の主担当の試験課題を持つようになった。その一つが「養豚用飼料の低コスト化」だ。「養豚用飼料の原料の多くは輸入されており、海外情勢等の影響から価格も非常に高くなっている状況です。養豚経営の6~7割を飼料費が占めているため、飼料価格の高騰による農家への負担を少しでも軽くしたいという思いで、飼料の低コスト化を目指し、データや知見を集めた」と語る。
養豚用飼料の配合割合や原料の見直しを行うことで飼料コストを下げたいが、飼料中の栄養価を落とすわけにはいかない。また、現場で受け入れられる飼料でなければならないため、研究所内や飼料メーカーと協議しながら研究を行った。「低コスト化に向けた課題は多いですが、飼料の配合を見直すきっかけになりました」と振り返る。
ハイコープ種豚に必要な栄養量をさぐる
その他に取り組んだのが「ハイコープ種豚の栄養要求量」の調査である。同研究所の上士幌種豚育種研究室がハイコープ種豚の育種改良を行っており、種豚の多産化が進んでいる。多産化が進むことで種豚1頭あたりの必要な栄養量も多くなる。「適正な栄養要求の水準が分かれば、ハイコープ種豚の能力を引き出しつつ、飼料の無駄を減らすことができます。栄養要求の水準を推定するための試験方法など情報を集めることに苦労しました」と話す。
JA全農と研究所の役割について聞くと、「JA全農では生産者の所得向上につながる取り組みを行うことで生産基盤を支えるとともに、その先の消費者へ安全な国産農畜産物を届けるという役割があります。研究所はそのためのデータの集積や情報の共有を行い、技術面で農業経営を支えていく役割があります」と答えた。
なるべく早く生産者の所得向上につなげるためにも各研究課題には期間が設定されており、研究スピードも意識しなければならない。今後、取り組むべき課題の一つに暑熱負荷の軽減が挙げられる。「全国的に暑熱環境による生産性の低下が問題となっているため、飼料・飼養管理の観点から引き続き、研究を行っていく必要がある」と話す。
「現場に近い職員や先輩の研究員の提案課題を聞く中で、自分にはない視点や想像力があり、その点がまだまだ足りていないと感じている」という。今後の抱負を聞くと、「専門性を突き詰めることも大切ですが、生産者の近くで声を聞き、現場に貢献できる経験も積んでみたい。専門性を持ちつつ、現場で活躍されている方を尊敬しており、自分もそうなれるように頑張りたい」と返ってきた。
農家のため、そしてその先の消費者のため。先輩の背中を見ながら経験を重ね、地道に、着実に、現場に役立つ研究は進んでいく。
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