JAの活動:JA全農の若い力
【JA全農の若い力】飼料畜産中央研究所(2)飼料品質で経営支援 山口真弥さん2025年3月19日
JA全農・飼料畜産中央研究所は上士幌種豚育種研究室と茨城県つくば市の研究室で活動する。養豚の研究員3人に焦点を当てた。
JA全農・飼料畜産中央研究所 品質管理研究室 山口真弥さん
JA全農の飼料畜産中央研究所(茨城県つくば市)にある品質管理研究室は、くみあい飼料を生産者に安心して使ってもらえるよう、工場での品質管理に必要な分析機器の検証や飼料原料・配合飼料・畜産物の分析方法等の研究をしている。
大学の農学部で昆虫の生理学、大学院では幼魚を使った神経生理学を学んだ山口真弥さん(2023年入会)は、「牛のげっぷによるメタンガス排出の抑制や米の需要開拓など社会と農業の問題に興味を持ち、学んできたことを生かし問題解決に取り組みたい」と考え、全農に入会した。
入ってすぐに配属されたのが、飼料の品質を分析で支える品質管理研究室だ。1年目はミネラル分析に取り組みながら測定機器の原理、取り扱いを学び、2年目はNIR(近赤外分光法)の技術指導に携わる。
カリウム分析の前処理には、①マイクロウエーブ法②灰化(かいか)法③希塩酸抽出法という三つの方法がある。「今までは②灰化法で、サンプルを500度に加熱し塩酸を入れてミネラルを溶かして測定していましたが、劇薬を使うこともあり危険を伴いました。③希塩酸抽出法は1%の塩酸を加え30分ほど浸透することで測定できるため、安全で効率的です」と山口さんは言う。安全で効率的な分析方法を確立し、飼料工場での導入を支援するのが仕事だ。
工場で使いやすいよう分析法を改善
飼料工場ではこれまで、タンパク質の分析に重きが置かれてきた。「肉を作るのがタンパク質なので、そればかりに目が行きがちですが、生物が恒常性を保つにはミネラルも重要です」という山口さんが、2年目に取り組んだのが、タンパク質や繊維、脂肪など複数成分を手軽に分析できるNIRの導入支援、技術指導だった。
波を打つスペクトルデータと化学分析値を入れると成分を予測してくれる検量モデルを作るとともに、NIRを導入する工場に出向き、導入をサポートしトラブル対応にもあたる。
「NIR法は簡便な分析法なので、分析が省力化し、空いた時間がほかの仕事に充てられます。工場で使えるようにすることが大事です」
畜産農家に提供する飼料の安全・安心を支えるのが品質管理であり分析だ。山口さんたちは、その解像度を上げ、実装を支援する。くみあい飼料で日ごろ品質管理に従事する人たちに年2回、飼中研に来てもらい研修を実施するのもその一環だ。
今後の抱負は「もっと勉強して、問い合わせに対してデータにもとづいた技術的知見を提供し、工場の品質管理のレベルアップに貢献したい」。現場や研修で出会い話をしたくみあい飼料の社員からは「実験器具の扱いがわかった」「上司に言われたことをしてきたが、こういう意味があったんだ」といった感想が寄せられる。山口さんはそこから、「畜産農家のために、というパッション」を感じる。そうしたパッションに支えられ、品質管理が日夜、ブラッシュアップされていく。
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