JAの活動:JA全農の若い力
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
家畜の疾病対策に携わる全農・家畜衛生研究所は、ワクチンや混合飼料等の商品開発と疾病の基礎研究を行う研究開発室と、家畜の衛生検査やそれにもとづく生産指導を行うクリニックセンター及び全国5ヵ所のクリニック分室がある。クリニック西日本分室(岡山県岡山市)に所属する小川哲郎さんは中四国・近畿エリアで生産指導に携わっている。
クリニック西日本分室 小川哲郎さん
小川哲郎さんは大学で毒性学教室に所属し、マラリア対策で使われたDDTの健康影響を野生のネズミを通して研究しながら、生物学者レイチェル・カーソンの名著『沈黙の春』も読んだ。
小川さんは大学時代、運動部に所属し身体づくりにも取り組んだ。カロリー計算をしながら栄養の大切さを学んだ。「その経験から、食事を通じて人の健康、幸せに獣医師として貢献できたらと考え、家畜衛生研究所に入会しました」と小川さんは思い出す。
入会は2018年。最初はクリニック東日本分室に配属され、当初は関東エリアで働いた。メインの担当は養鶏と養豚で、農家を訪問し農場の衛生指導をしている。
母豚から子豚が生まれると、生産者は出荷できる大きさの肥育豚まで育てていく。「豚の健康診断」にあたっては、血液などの検査に加え、生産者の話を聴くことが大事だ。「日常的に飼育にあたっている農場の人からていねいに聴き取りをすることが重要です。現場の人はささいな変化までよく見ていますから」と小川さんは言う。
小川さんは「豚が伸び伸び育つように」と願う
養豚では、サーコウイルスによる病気がある。ワクチン接種が有効な対策となっているが、近年ではワクチンだけでは防げない事例が増加しているため、ストレスから免疫が低下しないよう飼養管理に気を配る。豚は生まれた時は約1kgで約6カ月後の出荷時は120kgにもなる。豚の成長に伴い、適切な飼育温度や飼料成分・形状が変わってくるので、豚の発育ステージに合わせて整えることが課題になる。「薬を使うのも費用がかかるので、なるべく伸び伸び育ち病気にならない環境づくりが大切です」と小川さんは話す。
養鶏では、鶏の血を吸うダニ、「ワクモ」対策にも力を入れている。殺虫剤の使用が有効な対策となるが、薬剤への耐性化が問題となっている。家畜衛生研究所での検査結果を踏まえ、「この農場で効く殺虫剤は、これですよ」と提案する。また、全農では薬を使わない対策方法も進めており、稚内産の珪藻土を使った「わっか」という製品をワクモ対策に活用している。
農場の成績が悪くなると病気を疑って獣医師が呼ばれるが、その原因がいつも病気とは限らない。餌が一時的に切れていたり、ごみが詰まっており水の出が悪くなっていたこともあった。そうした経験を経る中で、小川さんは「私たちは獣医師なので病気に詳しいのが強みですが、それだけにとらわれず、農家さんの声・家畜の状態・畜舎の様子をもとに幅広く考えることが重要だ」と考えるようになった。
鶏や豚の具合が悪くても、何が原因かすぐにはわからないこともある。論文や報告事例を調べるが、「組織内に畜産の各分野に詳しい先輩や専門家がいて、他部署にも聞ける。『チーム全農』一体になって課題解決に取り組めるのが全農の強みです」と語る。
病気による生産性低下を予防し農家の経営をサポートすることで、日本の農畜産物の安定供給、生産基盤維持に貢献していく。「総合的に農家の課題解決に貢献できる人材になっていきたい」。そう話す小川さんは、今週も現場に足を運ぶ。
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