「農協改革」、自己改革、今思うこと4点(下) -今こそ組織あげての話し合いを、内部組織の活性化を-2016年10月23日
小池恒雄・滋賀県立大学名誉教授
もう一つは、ここにきての各全国連合会の新提案をめぐってである。
たとえば、全共連の「平成28年から30年度、JA共済3か年計画」で提起されている自己改革の取り組みである。全共連は近年、「代理店化に未来はありませんから最後の最後まで粘り抜きます」、「TPPの信共分離のねらいは共済連の生損分離のねらいまでをみておかなければなりません」、「そんなに簡単に信共分離させませんぞ、そのためには分離不可能な体質をつくりだしていかなければなりません。これこそ、目指すべき共済事業の自己改革のあり方だと考えています」等々胸のすくような主張を続けている。
「JA共済3か年計画」の新たにかかげた重点取組2「共済事業としての地域活性化・農業経営に貢献する取り組みの強化」でかかげているのは以下の3点である。
(4)地域活性化に向けた地域貢献活動の取組みの強化
(5)農業経営に貢献する取組みの強化
(6)JAグループの取組みと連動した農業振興等に貢献する活動の展開
そして(5)の「農業経営に貢献する取組みの強化」にかかわる「農業者の所得増大」に向けた取組みとして、1.農業リスク診断活動、2.担い手経営体等への新たな保障提供、3.JA事業リスクに対する保障提供の3点があげられている。
また、(4)の「地域活性化に向けた取組み」について、1.地域・農業活性化積立金の創設、2.県域独自施策の実施、3.その他地域の活性化に向けた取組み、の3点をあげている。問題は、これらの全共連の熱い提起をJAの皆さんがどう受けとめているかである。地域活性化はわかる、しかし、「農業経営に貢献する取組み」はわからない、「農業リスク診断活動」はわからない、それをLAの人たちにどれだけ理解してもらえますか。LAにTACの仕事をしろというのですか、等々の受けとめにとどまっているというのが実態なのではないか。
これらの提案(取組み)を、信共分離を許さない、信共分離を不可能にする体質づくりにつなげていくことができるか、つなげていくことが大きな課題ではないか。ここもまた「組織あげての話し合い」にかかっている。簡単に信共分離させない、総合農協つぶしを許さない、その攻撃を撥ね返すことのできる体質を創り出すこと。全中が、各全国連、全国のJAがそのために何をどうしたらいいのかを徹底的に考えぬく、そしてその目的に向かって一刻も早く取り組みを開始すること。このことこそがあるべき自己改革の中身でではないか。
◇ ◇
原発、TPP、沖縄、安保法制に向けての、地方・農村の怒りとがんばりが今各地で地鳴りとともに現れつつある。農協こそがその中心に位置づいて、大いに力を発揮しなければならない。農協には、これらの怒りとがんばりを支え、地方政治を動かしていく地力発揮が求められている。
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