【規制改革推進会議 農協改革の「意見」】改革の狙いはJA「解体」(上)2016年11月17日
国民の食料が危ない。対策早急に
政府の規制改革推進会議農業ワーキンググループ(WG)は11月11日、「農協改革に関する意見」を取りまとめた。内容は全農改革に関するもので、生産資材購買事業は仕入れ販売を行わず、共同購入の窓口組織へと転換し事業から撤退することや、販売事業では委託販売を廃止し全量を買取販売に転換すべきなどと自主的なJAの組織・事業に踏み込んだ極端な提言をしている。いずれも1年以内の転換を求めるもので、さらにJAの信用事業についても農産物販売に全力をあげられるよう、半数のJAが3年後に事業譲渡すべきと提言もした。政府・与党は11月末にも改革案を取りまとめる方針だが、「農業者の自主的な協同組織のあり方まで踏み込んだ内容で断じて容認できない」、「部外者だらけの欠席裁判。投げたボールは大外れのボール球だ」など批判が相次いでいる。「真に農業者の立場に立った改革」のためには、日本の食料、農業の将来をしっかり考えている人々の検討こそ求められる。
規制改革推進会議農業WG「農協改革に関する意見」概要はこちらから。
全文掲載はこちらから。
「意見」は(1)生産資材、(2)農産物販売、(3)全農等のあり方、(4)地域農協の信用事業の負担軽減、(5)農業者の自由な経営展開の確保の5項目で提言した。
生産資材では購買事業について「農業者の立場から共同購入の窓口に徹する組織に転換」し、新たな組織は仕入れ販売を行わないことを求めた。
農業WGの金丸恭文座長は11月7日の記者会見で生産資材の共同購買について「全農がどんなものがどのくらいの数量かを取りまとめて交渉し価格の妥結まですればいい」として、購入はJAや農業者が直接行うような事業への転換を求めた。
◆責任持ち価格交渉 競争でシェア獲得
ここでは「意見」への疑問とともに反論や運動のきっかけとなる問題を考えたい。
「意見」には「生産資材メーカー側に立って手数料の拡大をめざしているのではないかとの批判がある」との記述もある。しかし、これはまったく的はずれの指摘であり、農家組合員とJAの利益最優先の立場で価格交渉に臨んでいる。担当課は農家組合員のために価格交渉するとその決意を決裁書に書く。
農家組合員のために厳しい交渉ができるのは実際に購入する権限を持っているからである。メーカーとの情報交換、価格などについてコンサルタント的な役割ならば真剣勝負の交渉にはならない。
さらに肥料や飼料は原料を全農自ら輸入をしているためコスト計算なども含め根拠のある情報をもとに、メーカーとの信頼関係に基づき農家組合員のための交渉ができる。
その交渉自体が自由競争のもとで行われ、商系と競争しながらシェアを確保してきている。競争に負ければ撤退もあり得るが、「全農は仕入れ販売契約の当事者にならない」とは経営への過剰な介入だろう。
さらに全農の新組織が価格交渉して妥結したからといってJAや農業者がその価格で購入できる保証はだれがするのか。肥料など生産資材価格がまるでだれもが同じように支払う公共料金のように決められるのだろうか。果たして農家組合員のためになるのか。
(写真)規制改革推進会議の金丸農業WG座長(左)、右は太田弘子同会議議長。9月12日の会合後の記者会見
・【規制改革推進会議 農協改革の「意見」】改革の狙いはJA「解体」(下)ー委託販売方式こそ マーケット・イン、組織の分断を防げ まず国内生産体制を
重要な記事
最新の記事
-
「持続可能な農業で地域を未来に」 JA全中山野徹会長に聞く(2)【第30回JA全国大会特集】2024年10月7日
-
【注意報】野菜類、花き類、ダイズにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年10月7日
-
【注意報】ダイズ、野菜類、花き類、果樹類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年10月7日
-
米、野菜上がるも生産資材高止まり 経営状況依然厳しく 農業物価指数 農水省公表2024年10月7日
-
北海道でハヤブサから鳥インフル 国内1例目 環境省2024年10月7日
-
【Jミルク改訂版・戦略ビジョン】酪農基盤強化など7重要課題 「目標数値」は示さず2024年10月7日
-
奥能登豪雨 1724箇所被害 冠水950ha 農業に深刻な被害 石川県2024年10月7日
-
丸の内からニッポンフードシフト「NIPPON FOOD SHIFT FES.東京」開催 農水省2024年10月7日
-
キュウリのベゴモウイルス抵抗性遺伝子を特定 農作物のウイルス病被害低減 近畿大学2024年10月7日
-
JAつくば市谷田部が協力 さつまいも・原木しいたけ収穫体験開催 パルシステム茨城 栃木2024年10月7日
-
トップ層と職員の対話が重要 職員の取り組み向上へ「理念の共有」カギ JAの経営戦略高度化セミナー2024年10月7日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」福岡県「博多和牛」を味わい尽くす JAタウン2024年10月7日
-
鳥インフル 米アイダホ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年10月7日
-
鳥取県ブランド米「星空舞」贅沢おむすびフェア 8日から新橋で開催2024年10月7日
-
新感覚芋けんぴ「サクまいも」のショコラ仕立て 数量限定で発売 霧島酒造2024年10月7日
-
カンボジアで「水田メタン排出削減プロジェクト」始動 国際農研2024年10月7日
-
IBJと協働 地方婚活を支援する結婚相談所「ちほ婚!」開設 雨風太陽2024年10月7日
-
「生成AI×農業」による販促・商品開発実践 無料セミナー開催 農情人2024年10月7日
-
大和段ボールの全株式取得で子会社化 企業価値向上図る トーモク2024年10月7日
-
「新米と交換して欲しい」買いだめや返品にまつわるトラブル対策に 無料POP配布中 アサヒパック2024年10月7日