4年ぶりバター追加輸入4000t 生乳需給緩和の中、異例の6月末判断2024年6月27日
農水省は26日、2024年度のバターの輸入枠を当初より4000t(生乳換算で約5万t)増やし、1万4000tにすると発表した。脱脂粉乳在庫削減など生乳需給緩和の最中だが、追加輸入は4年ぶりだ。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)
猛暑も想定し慎重判断
脱粉、バターなどの国家貿易品目の乳製品輸入枠は例年、1月に翌年度の数量を決め、需給状況に合わせ5月と9月に見直す。1月の段階では、国際的な約束に基づく現行輸入機会(カレントアクセス)13万7000t(生乳換算)に据え置いていた。
5月31日のJミルク生乳需給見通しと同時に、同省から乳製品輸入枠が発表されるのが通例だ。だが今回は、猛暑の影響など乳製品需給見通しの慎重な精査が必要として異例の「先送り」となっていた。既にバター追加輸入濃厚との指摘もあったが、当時は国会審議で食料安保関連法案などの最中でもあり、発表時期で政治的な判断が働いたとの見方もある。
「十分な供給量」とアナウンス効果
用途別に需給が異なり、脱脂粉乳過剰が続き、在庫削減が求められる半面、バターは高値入札が続くなど需要は強まっている。加工向け生産は北海道の動向が左右する。
北海道は今年度増産計画に転じ、ホクレン受託乳量も5月で前年実績対比100・6%とやや回復基調にある。こうした中で今回バター4000tの追加輸入に踏み切った。一部メーカーでバター在庫積み増しの動きもあり、ケーキなど年末クリスマス需要に向け十分な供給量は確保されるという市場へのアナウンス効果も踏まえたとも見られる。
生産次第で機動的な対応必要
ただ、4000tは生乳換算で約5万tと1県分の年間生乳生産量に匹敵するだけに、需給緩和の中での輸入増加に生産現場での反発も予想される。
用途別に需要の強弱はあるにしても現在、国内の生乳需給は緩和基調であるのは間違いない。その意味では次回の見直し時期である9月の判断も重要となる。北海道の増産が今後どれほどになるのかを中心に、生乳生産の動向次第で追加輸入の修正を臨機応変にすることが欠かせない。同省には、生乳需給の慎重な見極めを求める声が強い。
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