6次産業化経営に女性の活躍広がる 日本政策金融公庫が調査2013年1月10日
日本政策金融公庫は融資先農業者を対象に農業経営現場での女性の活躍状況について調査し、その結果を1月9日に公表した。
調査は昨年9~11月、6次産業化や大規模経営に取り組む融資先農業者2078先を対象に郵送アンケートと面談で実施し、1003先から回答があった。
女性の活躍推進に「取り組んでいる」と答えた農業者は52%で、なかでも「6次産業化に取り組んでいる」農業者では62.5%と高かった。一方で「6次産業化に取り組んでいない」農業者では39.4%だった。
全役員・従業員に占める女性の割合を見ても「6次産業化に取り組んでいない」農業者の平均は31.9%だったのに対し、「6次産業化に取り組んでいる」農業者は46.3%で、6次産業化の現場で女性の活躍に広がりが見られる。
また、「6次産業化に取り組んでいる」農業者に部門別での女性従業員の有無を聞いたところ、「生産」「加工」「販売」「総務・経理」すべての部門で半数以上の経営体に女性従業員がいる結果となった。「役員・管理職」に付いている女性は37.4%。
◆売上・収益高まる傾向
融資後3年間の売上高の増加率を調査したところ、女性役員・管理職が「いる」経営体は23.0%、「いない」経営体は9.4%でその差は13.6ポイントも開いている。
また、融資後3年間の売上高経常利益率の推移を見ても、女性役員・管理職が「いる」経営体では融資前の0.9ポイントから2.0ポイント増の2.9%となったが、「いない」経営体は融資前から▲0.1ポイントの1.4%と横ばいだった。
女性の活躍推進に取り組んだ・取り組もうとしたきっかけとしてもっとも多かったのが「女性に向いた業務が多いため」(65.3%)。そのほか「女性の感性・経験を活かし事業を活性化するため」(58.6%)、「女性の能力を活かせる機会が増えてきたため」(42.7%)が多かった。
◆働きやすい環境づくりが課題
一方で働きやすい職場環境への取り組みが今後の課題といえる。「仕事と育児・介護の両立支援として就業規則等に定めている、制度はないが柔軟に対応している」ことについて一般中小企業を対象にした調査結果と比較すると、「短時間勤務制度」は中小企業83.9%・農業者58.0%、「子の看護休暇」中小企業62.7%・農業者28.3%、「残業の免除」中小企業84.1%・農業者25.2%、「フレックスタイム制度」中小企業68.8%・農業者12.1%とすべての項目で中小企業を下回った。
同公庫は「農村では二世帯、三世帯で同居しているケースが多く家庭内で融通が利くといった要因も考えられるが『女性が働きやすい職場環境づくり』のため、より具体的な対応策が必要」としている。
(グラフはクリックすると大きなサイズになります。)
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