新たな中央会制度 農協法に位置づけを2014年11月7日
JAグループが自己改革方針
JAグループは11月6日、総合審議会の中間とりまとめを受けて「自主自立の協同組合としての自己改革」の内容を決めた。▽農業者の所得増大、▽農業生産の拡大、▽地域の活性化を基本目標としてJA改革と中央会改革に取り組む。中央会は現行の統制的な権限を廃止し、組合員・JAのための自律的な制度として農協法上に位置づける確実に機能を発揮することが必要だと考えを改めて打ち出している。
◆農業と地域に全力
JAグループは、農業者の「職能組合」と「地域組合」の性格をあわせ持つ「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」として今後も総合事業を展開し、▽農業者の所得増大、▽農業生産の拡大、▽地域の活性化をめざす。
農業振興と地域振興が一体となったJAの取り組みは、人口減少や高齢化への対応、雇用創出など地方経済や社会維持・発展のために必要不可欠との認識に立ち改革を進めるが、同時にこうした役割を農協法に位置づける検討も必要だとしている。
また、そのため組織分割や事業譲渡、准組合員の事業利用制限ではなく、「准組合員を農業や地域経済の発展をともに支えるパートナー」として位置づけJAの事業・運営への参画を推進する。また、法制度の問題としては准組合員の共益権のあり方などを含めて組合員制度に検討していく。
事業方式では「均質的な組合員を前提とした事業方式」から「担い手経営体を含む組合員の多様なニーズに応える事業方式」への転換を加速化、利用率の向上と取扱高の拡大につなげ収支を段階的に改善していく。
そのうえで農協法上の事業目的(第8条)の改正については、出資者への配当を目的とするのではなく「事業を通じて組合員への最大奉仕を目的とする協同組合原則の遵守」を求めていく。
JAのガバナンス強化については▽理事等の「担い手枠」(生産部会、農業法人、青年部の代表者等)や「女性枠」の設定、拡大、地区選出枠の見直し、▽常勤営農担当理事の明確化、営農経済委員会などの設置、▽専門的な知見を持つ学識経験者の活用などを進める。
◆全国連が新支援
JAへの支援・補完機能を強化するため全国連が連携し「農業所得増大・地域活性化応援プログラム」を新たに創設する。 26年度から30年度までに事業規模2兆円、事業費1000億円規模で実施する。事業としては▽輸出インフラへの出資など輸出の取り組み、▽6次産業化など高付加価値化支援、▽担い手へのリース等による規模拡大・効率化支援、▽新規就農者の育成・確保のための支援などを実施していく。
全農の株式会社化については「組織形態の重大な変更であるため会員総代の合意形成が前提」だとした。また、引き続き独禁法の適用除外がはずれたときの事業への影響について検討していく方針だ。
JAが営農経済事業に今まで以上に注力するため、信用事業におけるJAのリスク・負担の軽減に向けた取り組みも進める。基本的な考え方は合併等で態勢整備をすすめ組合員に十全な総合事業を展開できるJAとなること。同時に、信用事業の負荷を軽減したいJAのため選択肢として「代理店モデル」の基本スキームを提示する。共済事業でも仕組みの簡素化や電算システムの再構築、連合会改革によるJA指導・サポート機能強化を進める。
◆協同組合の特質ふまえ 監査制度を維持・実施
中央会制度は、国から与えられた統制的な権限などを廃止し、組合員・JAのための自律的な制度に変える。
JAの定款の一律規制や統一的な指導方針、資料等の徴求権、賦課金徴収権などは廃止する。また、全中への当然加入、区域指定などの制度もなくし、中央会の設置をJAが判断する制度とする。ただ、新たな組織設置の場合には地区が重複しないような措置は行う。
こうした見直しを行うなかで、中央会は[1]経営相談・監査機能、[2]代表機能、[3]総合調整機能の3つの機能に集約し重点化する。
新たな中央会機能のポイントのひとつは「事前指導型」から「経営相談・事後点検型」への転換だ。一律的な事前指導からJAの創意工夫を後押しする個別相談、事後チェックとする。
一方、監査については農協協同組合監査士による財務諸表監査と業務監査が一体となった監査を引き続き実施する。組合員のニーズに応えるため組合員のための事業展開という観点から協同組合の特質をふまえた監査を実施し、その品質向上をめざす。
代表機能については、組合員・国民に支持される農政推進をはかるため農政連と役割を分担。中央会は政策企画・提案に特化する。
総合調整機能はJAの総合事業を支えるとともに、JAグループが総合力を発揮するための機能として今後と重要になる。新たな中央会による総合調整で「担い手サポートセンター」の設置や、JAグループの一元的な農産物輸出体制づくりなどに取り組む方針だ。
こうした中央会が機能を発揮するためには農協法に確実に位置づけられることが必要だとして今後、政府・与党との協議を進める。
(関連記事)
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