地方創生担う中央会を JA代表が自民会合で主張2014年11月6日
11月5日に開かれた自民党の規制改革推進委員会でJAトップ層らがヒアリングに招かれ「地方創生機能を持った中央会をつくるべき」など、地域づくりに力を発揮しているJAを支える中央会機能の重要性などを訴えた。
出席したのは宮城県のJAみどりの・阿部雅良代表理事専務(宮城県農業法人協会会長)、福井県のJA越前たけふ・冨田隆代表理事組合長、徳島県の(株)いろどり・横石知二代表取締役社長の3人。
阿部氏は都会と地方の格差拡大が進むなか、JAは農業だけでなく生活、文化面も含めてサービスの提供で地域全体を維持、活性化させていることを強調し「JAの力強さを作るための中央会、地方創生機能を担っていく中央会をつくってほしい」と改革の方向を訴えた。地域の力を伸ばすため中央会には、各地への情報発信力と同時に代表機能、総合調整機能が求められるという。
また、農政の課題としては米価が下落するなか大規模農家ほど打撃があることから「担い手対策をしっかり」と要望した。 冨田氏は「組織離脱、中央会に反旗、などと報道されたがそんなことは考えていない」と強調し、組合員との協議のなかで農家経営を支える経済事業改革に取り組んでいることを報告した。米は3?5年の複数年契約で直売を実現、肥料は大手物流業者との提携によるメーカー倉庫直接引取などで3?4割の価格引き下げを実現するなどの成果を上げているという。
冨田氏は「農家、組合員、地域のためのJAに、と意識改革に力を入れてきた」と話した。
横石氏は徳島県上勝町で組合員の所得向上のため、“つまもの”出荷に取り組み後に会社を立ち上げた。JAと事業を連携、今、この生産・出荷活動は農家組合員の健康維持や地域の景観保全にも貢献、多くの若者たちも町に来るようになっているなどの成果を話した。その原点はJAがいかに農家組合員の所得向上を実現するかを常に考えたからで、農家と農協職員との信頼関係を基礎に改革の方向を考えるべきだと話した。
◆稲田氏 中央会を問題視
これらの報告や出席議員からの意見にも中央会制度の強化を求める声はあったが廃止や見直しを積極的に求める声はなかった。
しかし、稲田朋美政調会長は最後に次のようにあいさつし中央会改革に言及した。
「農協改革をやるというと、JAつぶし、協同組合つぶしといわれるが、そうじゃない。
全国中央会、県の中央会というのは協同組合じゃないんです。法律に基づいて作られた公益性の高い非営利法人。法律のなかに、指導権、監査権、政府に対する建議権、紛争処理、それから調停など、本当にいろいろな権利が法律上で定められているわけです。
それはなぜかといえば60年前は1万も農協があって、ちゃんと基盤を強化するためには農水省に替わって権限を一部代行するかたちで中央会を法律上つくった。大きな権限を与えて指導したり監査したり、会費を徴収する権利とか、みんな法定する必要があったんですが、それから60年経って、1万あったJAは700以下になっている。
中央会制度は法律で決められていることでどんな弊害があるかという質問があったが、富田さんは意識改革だと言われた。でも、やはり歴然とした抵抗があるんです。
私は今の中央会制度をつぶすとかではなくて、今の中央会制度と同じことをしてほしいとJAやら、それから農家が望むのであれば任意の、自律的な組織として今と同じことがやれればいい思うんです。行政の一部を担うような強力な法定の組織が果たして今の日本の農業にとって、JAや農業者の創意工夫を拡大していくことに必要でしょうか、という根本的な疑問でこの改革の議論をやっているんです」。
(関連記事)
・中央会解体はJA潰し JAは何を主張すべきか 石田正昭・三重大学招へい教授(2014.11.05)
・JAの総合事業は地方創生の原動力 JA全中・冨士重夫専務(2014.11.04)
・米国との協議でコメの重要性強調-甘利氏(2014.10.30)
・規制改革推進 自民に委員会(2014.10.29)
・JA解体の第1弾 監査機能を剥奪し中央会の無力化へ 福間莞爾・新世紀JA研究会顧問(2014.10.23)
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