規制改革推進 自民に委員会2014年10月29日
自民党は党内に規制改革推進委員会の設置を10月20日に決め23日に初会合を開いた。当面は政府が6月に閣議決定した農協改革や医療制度などの関連法案を検討することになる。農林をはじめ各部会の議論と政策決定との調整も焦点となる。
◆官邸主導強まる?
同委員会は党の日本経済再生本部の下に設置された。本部長は稲田朋美政調会長で次のようにあいさつした。
「(この委員会の設置は)規制改革担当大臣だったときに、やはり党も横串を刺すかたちで規制改革の推進をしていくことを議論する場が必要だと思ったから。幅広い議論ができるのが自民党の良さ。(規制改革を)推進をしていくとは何も緩和だけでなく規制を強化するという面も含めて推進をしていくということ。党の場でもぜひ議論をしてもらいたい」。
自身が述べているように稲田氏は前規制改革担当大臣。10月3日の衆議院予算委員会では安倍首相は農協改革など「思い切った改革に取り組み成果を出していただいた」と評価した。また、同委員会の委員長には規制改革担当副大臣だった後藤田正純氏が就任。政府の規制改革担当の2トップが今度は党の2トップを務めるかたちだ。
農協改革について稲田政調会長は「農協の自主性を重んじてほしいとか、農協つぶしにならないようにやってほしいという要望がある。まさしくその通りで、実は自主性を高めるために私は農協改革はやらなければならないと思っております」と述べ、中央会制度によって組合員の視点からの監査、指導を行っていることについて「法律でそういう強固な権限を与えるよりもっと任意で自由で、自主性のある制度にすることがかえって単位農協の創意工夫を阻害しないんじゃないかなという問題意識であります」と述べ忌憚のない議論呼びかけた。
また、後藤田委員長はこれまで規制改革を政府主導で進め党には議論の場がなかったことに触れ「国会議員の仲間がしっかり提案、提言していくのが本筋ではなかろうかと思います」と述べたほか「アベノミクスを支える成長戦略において、この規制改革がしっかり援護射撃をしていく」と強調した。
(写真)
あいさつする稲田朋美政調会長
◆中央会改革が焦点
この日の会合に内閣府が示した資料では「農協改革」との項目はなく「中央会制度から新たな制度への移行」とあるだけ。次期通常国会に関連法案の提出をめざす事項は単協の営利禁止規定の見直しや全農の事業・組織の見直しもあるが、それらを無視し中央会制度だけをターゲットにしたような整理の仕方だ。
ただ、改革推進を含めて具体的な意見はほとんどなかった。そのなかで山田俊男参議院議員(参院農林水産委員長)が「安倍総理が、単なる看板の付け替えではない、廃止というのは決まっているんだ、というような話をする。廃止なんてことは規制改革会議の意見を受けたあとの党の取りまとめでも言っていない。新しい組織につくりかえるということになっている。廃止なんて話になったらものすごい反発が出る。慎重に慎重にことを運ばなければだめだと申し上げたい」と釘を刺した。
また、9月から再開した規制改革会議委員の顔ぶれは変わらず「農業のことをよくご存じの人がどれだけいるか」と改めて問題視し、上から目線の改革論議にならないように提起した。
ただ、こうした「専門性」、すなわち「部会」の議論との関係を整理すべきだとの意見があった。柴山昌彦衆院議員は部会の責任者が同委員会に出席し「文句があるんだったらぜひ参加してもう侃々諤々やってくれ、と。その代わり出てきた以上は、結論にはしたがって下さい(という運営にすべき)」と強調した。また分科会の設置も提起した。
議論をまとめた後藤田委員長は「部会は部会で議論してもらいたいが、法律処理場みたいになっているのでここで受け止められるようにしたいと思う」と部会軽視ともとれる発言をしたほか、分科会の設置検討も表明した。今後、どれほどの影響力を持つかは分からないが動向を注視する必要もある。
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