依然"減収増益"の経営 農水省 総合農協調査2015年4月30日
准組合員の増加続く経済事業マイナス貸出金は伸び悩む
農水省は先ごろ、 平成25年事業年度総合農協一斉調査結果を発表したが、准組合員数の増加や経済事業のマイナス、貸出金の伸び悩み、さらに生活物資の購買取扱高や米の販売高の減少など、最近の農業・農家経済の厳しい実態を反映している。一方、経営面では、事業総利益の減少傾向は変わらないものの、人件費の削減で事業利益を確保するという"減収増益"の経営構造が依然続いていることが分かる。
◆女性役員千人超に
平成25事業年度の全国の総合農協の正組合員は5万2000人減少。組合員の高齢化でこの数年減少傾向が続いている。半面准組合員は22万人増加。この結果、正・准合せた組合員総数は1014万5000人で、前年度に比べ16万7000人(1.7%)増えた。
合併によって毎年減少している農協の役員数は1万8796人で、前年度に比べ114人減少(▲0.6%)する中で、女性役員は142人(14.2%)増え、1140人となった。職員数は20万9478人で、同じく2304人(1.1%)の減少となった。
1組合当たり組合員数は1万4249人で、うち正組合員が6406人、准組合員7842人で、全国平均で准組合員のほうが多くなっている。これを地帯別にみると、准組合員比率が高いのは都市地帯や都市的農村地帯で、中山間地帯や農村地帯ではまだ正組合員の比率が准組合員を上回っている。また、女性の正組合員の1組合当たり平均は1304人で、最も多いのは都市的農村地帯の1608人。
(表1)農協の組合員数

◆共済もマイナスに
次に財務状況を貸借対照表でみると、資産合計は101兆2941億円で、前年度に比べ1兆7907億円(1.8%)増えた。負債合計は94兆8206億円で、同じく1兆6446億円(1.8%)増え、純資産合計は6兆4735億円で、1461億円(2.3%)増加した。
事業総利益は、この数年減少あるいは頭打ちの傾向にあり、25事業年度もこの傾向が続き、前年度に比べ21億円(▲0.1%)減少して1兆8760億円となった。部門別では信用事業総利益が7817億円(前年度比1.5%増)、共済事業4722億円(同▲2.8%)、購買事業3282億円(同▲1.4%)、販売事業1387億円(1.2%増)だった。
マイナスとなった部門をみると、共済は農協の経営を支える重要な事業だが、組合員の高齢化の影響で満期解約が増え、収益性が頭打ちになっていることが分かる。内訳をみると、長期共済新契約高は前年度に比べ8.2%減り、うち「生命総合」は17.8%も落ち込んでいる。
購買事業では生活物資の供給・取扱高が前年度に比べ7.4%減り、うち食料品は9%も減少した。農産物販売取扱高は全体では前年を上回ったものの、米と生乳の取扱高が減った。
順調な信用事業は、貯金が依然、右肩上がりの増加を続けており、25事業年度末で91兆2606億円で、前年度に比べ2.0%の増加。
貯貸率は最低水準
しかし、貸出金は22兆8909億円で前年比0・9%の減で、減少傾向にある。このため貯貸率は25・1%と、この数年で最低となった。農業・農村の景気が回復せず、組合独自の資金運用が難しい実態を反映している。
(表2)損益計算書 (単位:億円)

◆人件費0.3%減
一方、事業管理費は前年度に比べ154億円(▲0.9%)減った。うち人件費は36億円(▲0.3%)の減少となった。この結果、経常利益は2803億円となり、前年度に比べ217億円(8.4%)増加し、当期剰余金は1967億円なり、前年度に比べ233億円(13.4%)と、1割以上増えた。なお、当期剰余金を確保した組合は696で、損失金を出した組合は16だった。これでみると、ほとんどの組合の経営は健全に行われていることが分かる。
組合員資格は緩和
なお、組合員の資格については、正組合員の資格を耕作面積で決めている組合は668で10a以上が508で大半を占める。農業従事日数は708組合で90日以上が550で、おおむね模範定款に沿った基準となっている。ただ、5a未満、60日未満も都市的農村地帯を中心に十数組合ある。
さらに准組合員の資格については、組合の地区内に勤務地を有する個人と規定している組合が678、地区外に住所を有する個人としているのが594となっている。このように組合員資格に関しては、かなり開放されていることが分かる。
◇
この調査は都道府県を通じて総合農協に対して調査票を送り、農水省が取りまとめた。調査対象は平成26年3月31日現在の731組合で回答のあった712組合分を集計した。
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